医者の仁術

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2025年7月 トピックス】

岡山支部 岡山Bさんの投稿

日本各地、例年にない早い梅雨明けである(中国地方で言うと18日間の梅雨期間)。

これからはキンキンに冷えたビール!といきたいところだが、少し用心がいる。

落語の演題「親子酒」は、酒飲みのサガでもある、いつもついつい酒を飲みすぎてしまう商家の旦那と若旦那の断酒にかかわる親子の話。酒を飲みすぎては失敗して後悔ばかり、さすがにこれではいけないと、親子ともども酒を断つことを誓う。しかし、その断酒は難しい・・・本当は互いの断酒の誓いは、固い固い約束だったのだが・・・

学校を卒業して、社会人に成りたての頃は学生時代の少しモラトリアム的扱いもあって少々のことは許されていた感がある。そうした甘えを長い年月に、少しずつ積み重ねてくると「生活習慣病」といった病気自慢にも事欠かない題材が自分の中に蓄積されていく。

今では自分の中では常備薬となってしまっている「痛風の薬」。かかりつけ医のところに処方してもらおうと診断を頼んだら、いつ

もの担当医でなく、その病院の院長先生が診てくれた。

「今尿酸値はどれくらいですか?」

境界線の「7」を大幅に上回っている話をすると、「痛みはありますか? 痛みがないなら、まぁ~大丈夫、念のために、薬は出しておきましょう」と笑顔で診断をしてくださった。

医は”仁術”とも称されるよう、その先生の裁量で薬に依存するのか、患者自らの運動、栄養管理の推奨、そしてそこから引き出される自らの自然治癒力の薦めと、その道は分かれていく。

その先生の若い頃の話をしてくださった。「実は僕の若い頃の尿酸値は”9.5”だった。でも、その頃は腎臓の機能も十分機能していたから、痛風の症状は全くでなかった」と豪語(笑)。どう考えても”9.5”!日々危険物を持ち歩いて活動している状態にしか思えない。

先生ご自身の現状も話してくださった。「今の尿酸値は6.5なので、数字的には全く問題がない。しかし、加齢とともに腎臓の機能が衰えてきていて、ちょっと無理をすると激痛が走る!」と言われる。

その事例は半日4時間ほどあまり水分も取らず、草刈りをやった時。(これなら僕もある)仕事が忙しくて、昼食抜きで夕方ある会合の後、キンキンに冷えたビール、そしてあん肝などがアテにあったので、しこたま魚卵を中心とするおつまみを頼んだ時。(これはない!これはあまりに自爆型の行動ではないか!) ➡激痛、激痛  その後、一週間は杖をついて、病院内の回診に回られたそうである。患者の方からは「大丈夫ですか?先生…」と声掛けをされてしまう始末。

しかし、酒飲みの先生は、患者の酒を飲むことを窘めたりはしない。無理な呑み方をしなければ、大丈夫!と太鼓判。そして、自らの机の右側の引き出しを開け、「my bottle」の水を紹介してくださった。かつては緑茶を飲んでいたがカフェインが少し悪さをすることがあった。今は、兎に角、水!(ダカラってなものでなく、「my bottle」の水だそうである)これである。

医は”仁術”。院長先生と自分の間には勿論、親子関係はない。全くの他人だ。しかし、互いに少し吞兵衛という関係があるとすると、二人の仲は「親子酒」なのである。

茶色の錠剤(尿酸値抑制薬:今は白い錠剤に)が怖くてビールが飲めるか?と、いきがってもみたい。

(岡山B)

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