取り残される日本

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2025年7月 トピックス】

◆6月とは思えない猛暑の中、久しぶりのシンガポール出張である。

前回は2018年、当時勤めていた会社がF1のスポンサーをやっていたので、シンガポールGPにお客様を招待、そのアテンドであったと記憶している。

この間コロナがあり、ウクライナ紛争やトランブ2期目がスタートするなど、世の中は大きく変わってしまった。今回の出張はその変化を感じる出来事が多かった。

◆最近海外に行く時はアプリ決済の進歩でキャッシュレスでの支払いが可能なため、現地通貨の両替は最小限で事が足りる(便利な世の中になった)。

今回は2泊3日の弾丸出張なので、現地通貨の両替は50シンガポールドルで十分だなと思って成田空港の両替所へ立ち寄った。

かれこれ30回くらいはシンガポールに出張しているので、1シンガポールドル=¥80くらいだろうという思い込みもあり、日本円で5000円出せば、お釣りが来ると勝手に想像していた。

「お待たせしました。50シンガポールドル、日本円で6,000円です」 

えー!

1シンガポールドル=120円?

嘘でしょうと思って為替のボードを見ると、確かに120円になっていた。

◆深夜に到着すると、相変わらず赤道直下特有の蒸し暑さはあるが、日本の方が不快指数は高いなあと思いながらホテルへ。移動手段はGrab(Uberのアジア版)である。日本では既存のタクシー事業者を守るため、いまだに私用車を利用した配車アプリは認められていないが、シンガポールでは移動手段に既存のタクシー会社と私用車使用のGrabが両方機能している。

ホテルにチェックインする頃には喉がカラカラ。

部屋に入ってみると、ミネラルウォーターが置かれていない。フロントにクレームすると

「ベットボトルのミネラルウォターを廃止して、洗面所の水を飲料として利用できように改善した」との返事。

コンビニに行っても、ベットボトルに入った水はほんの少量売られてはいたが、その代わり水筒を買って再利用(リフィル)しましょうと勧められた。

オフィスや空港、街の中にもたくさんの給水所があり、サスティナブルの徹底を感じた。

◆会食の席で、フランス人やシンガポール人の同僚に「日本の米騒動を知ってるか?」と聞いてみても、誰も知らず、経緯や価格の推移を説明すると「値上がり前の¥500/KGでも高すぎるよ。ましてそれが、1年で倍? 欧州でもアジアでも主食が高騰したら暴動が起きるよ」

とのコメントであった。

◆わずか48時間の滞在ではあったが、今回ほど日本社会がグローバルの動きから、いろんな面で取り残され、国力が落ちている事を痛感した。現地のカフェの店員の時給は2500円、この円安が続けば、少子化で減り続ける労働人口の切り札として期待される外国人労働者も日本で働く事を選ばなくなるであろう。

帰国してみると日本のトップニュースは、NHKも含めて、どこぞの市長の学歴詐称。

まあこれが日本の良い(呑気な)ところなのかも知れない。

大学37期 上野啓

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