随筆 横目で眺めた経済学 23 シュンペーター

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2026年3月 トピックス】

シュンペーター・・・昔からよく名前を聞いていた経済学者だ。

「イノベーション」、「創造的破壊」、「起業家(アントレプレナー)」はシュンペーターの代名詞とも言え、今でも新聞・雑誌でよく聞く。

学者として大物であることは間違いなく、またシュンペーター自身、多くの学者を育てた。

サムエルソンやレオンチェフ、ガルブレイスなどは彼の弟子だ。

我々鳳陽会の先輩・柴田敬博士も京大助教授時代、ハーバード大でシュンペーター教授のゼミ生だったことがある。

◆枠を超えた経済学者

オーストリアで生まれ。

ボン大学を経て、米国に招聘されハーバード大で教鞭をとる。米国ではアメリカ経済学会会長にも就いた。

オーストリアでは財務大臣をやり、民間銀行の頭取となり実務経験もしている。

経済学、特に近代経済学は古典派とケインズ派の相克で発展してきた感があるが、どちらの学派も静学的な考察が多く、内的要因によって局面がドラマチックに展開・発展していく動学的なモデルになっていない。

静学では緻密な分析が重視され、限界分析で微分を用いた数学が多用される。

他方、動学的な分析では、分析ツールとして数学は活用されにくい。

シュンペーターも数学はあまり得意ではなかったようで、数学は弟子のサムエルソンから学んでいたともされる。

マルクス経済学との関係はどうか。

シュンペーターはもともとマルクスをよく勉強していたようだ。

しかしマルクス理論を批判的に論評することが多い。

◆起業家

創造的破壊をもたらす起業家

エアコンの効いた大きな個室で、本革の椅子に腰かけ、社員が働くのを左うちわで眺めているような大企業の社長さん。

こうした社長さんはシュンペーターに言わせると、「起業家」ではない。

「企業家」であっても、「起業家」と呼ばない。

イノベーション・・・

それはシュンペーターのいう「新たな結合」によってもたらされる「創造的破壊」を作り出す「起業家」の精力的な活動。

これが経済ダイナミズムの源で、社会を新たな局面に引き上げる「革新」とする。

また、小企業のうちはイノベーティブであっても、売り上げが伸び、企業の規模が大きくなると「守り」に入り、革新の色が薄れることになりがちになることにも注意が必要だ。

◆単なる経営学者でもなく、社会学者でもなく・・・

シュンペーターは何者か。

単なる経済学者ではない。

経済学者でなければイノベーションを説く経営学者か。

そうでもない。

では、社会学者の大家として取り上げられるか。

それも違う。

単なる経済学者、経営学者、社会学者を超えた大学者だが、こうなると色は薄まる。

名前も今一つ浸透していかない。

もったいない。

◆シュンペーターが高く評価した日本の経済学者とは

日本の経済学者も米国に向かい、シュンペーターのもとに学びに行った。

その中でシュンペーターが高く評価していた日本人経済学者の名を挙げている。

柴田敬博士。

柴田敬は福岡市生まれで、福岡商業高校から山口高等商業に進学した我々の先輩だ。

山口高商から、さらに京大に学び、京大の教授に。京大で博士号をとった。

また1951年から1963年まで山大経済学部でも教鞭をとり、経済学部長も務めた

鳳陽会東京支部の中にも、卒業期が一桁の先輩方の中には「柴田ゼミ生」がおられる。

(学23期kz)

J.I.シュンペーター教授
柴田敬博士

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