スイスに学ぶ ①国際競争力の源泉

スイスに学ぶ ①国際競争力の源

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2027年3月 トピックス】

◆IMD国際競争力ランキング

2025年のIMD(国際経営開発研究所)が発表した国際競争ランキング1位はスイスだった。

欧州の小国スイス。

この国のどこが優れているのか。

2023年の数値(OECD)では、スイスの平均年収は世界最高水準で、日本の3.3倍。

時給は都市部で約4千円超であり、日本の最低賃金の4倍近い。

物価上昇率も高いが、それ以上に賃金が上昇している。

◆名だたる世界企業が拠点を設置

スイスの本社や地域統括本部を置く国際企業は約1000社。

そのほとんどが北米や欧州の企業だ。

例えばキャタピラー、デュポン、グーグル、IBM、ジョンソンエンドジョンソン、プロクターアンドギャンブルなど名だたる一流企業が拠点を構える。

柔軟な労働法、魅力的な税制優遇(法人税免税措置)措置、優れた産業インフラ、政治的な安定性、財政・金融・通貨の安定(コントロールされた財政赤字、柔軟な金融政策、スイスフランの安定)など、意欲的な事業活動を行う上で基本的なインフラが整っているということだろう。

また、公用語もフランス語、ドイツ語、イタリア語、ロマンシュ語の四つがあり、スイス居住者に多様性があるため、製品やサービスを提供する上でのテスト市場としても最適だとされる。

◆人材育成

国土が狭く、人口が少なく、天然資源が限られている国、スイス。

日本も同じだが、こうした国では人材育成に配意するのが常だ。

大学の世界ランキングを見ると、11位に国立大のスイス連邦工科大学チューリヒ校(ETH)がランクされている。

アインシュタインの母校だ。アインシュタインがETHに在籍したのは1895〜96年。その後1912年に教授として帰還。その際に使用していたロッカーがETH構内に保存されているという。

しかし、大学の世界ランキングでは世界のトップクラスというわけではない。

(東大よりははるか上だが・・・)

しかし、ここで重要なのは大学地震のランキングより、大学が提供するサービスが優れていることに注目したい。

ここでは起業家を育てることに注力しており、例えば卒業生には資金、メンタリング、研究スペースを1年半にわたって提供するプログラムを用意しており、ETH発のスタートアップ企業の5年後の存続率は95%だという。

もう一つの国立大がある。

国立大・スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)だ。

この大学のランキングは32位ではあるが、ここではETHにも増して、産学連携に力を入れているという。

グローバル企業からスタートアップまで120の企業、75以上のプロジェクト、25の実験室が同大学をハブとして活動している。

もちろん大学は上記2校だけではない。このほかにも高等教育機関にはチューリッヒ大学、ベルン大学、ジュネーブ大学等水準の高い大学がある。

また大学の授業料が安いのも特徴だ。

先に挙げた国立大学2校の授業料は、半期で660スイスフラン(約13万2千円)、4年間で105万6千円。

留学生でも、授業料は変わらない。

◆イノベーション支援

国の機関としてはスイス国立科学財団がある。

基礎研究や国際研究を支援し、特に若手研究者の育成に注力している。その原資は国の予算と寄付から成る。

もう一つ、技術革新委員会というのもある。デスバレー(死の谷)の克服に注力している機関で、中小企業やベンチャーの資金面、技術面の支援により、研究機関と産業との橋渡し役を果たし、イノベーション促進に貢献してきた。

◆外国企業の活躍

こうした研究・開発、創業、発展、他国展開するためのインフラがバランスよく整っているのが特徴ではないだろうか。

もちろんこれには、ビジネスの成功を左右する、より大きな環境ともいえる、社会生活の安定、国内政治の安定、外交的な安定も重要な要素となる。

有名企業になったスウォッチも、ネスレも、もとはといえば創業者は外国人で、外国企業だ。

もともとスイスの時計職人はフランスのプロテスタント(ユグノー)がカソリックの迫害を逃れてフランスに移り住みスイスの地場産業に育っていったという経緯がある。

また、ネスレの創業者アンリ・ネスレはドイツの薬剤師だった。

スイスには世界から起業家を呼び寄せる力を持っている。

日本も真似できないことはないはずだ。

(学23期kz)

スウォッチ本社ビル(スイス・ビール市)

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