スイスに学ぶ 2 中等教育(デュアルシステム)

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2026年3月 トピックス】

◆ビジネス国際競争力首位・スイスの中等教育

今やAI花盛り。

議論の中心になっているのではなく、社会に実装され企業の中でも使われ始めた。

その中で有名大学を終えて金融業界やコンサルに就職した新入社員・若手社員らがAIの浸透の影響を浴び始めているようだ。

金融業ではこれまで新人が行っていたような定型的な文書作成や資料作りはAIがやってくれるので、「AI君」で間に合うことが多くなっているそうだ。

実際、米国ではコンサル会社で高給取りだった若者が金融機関やコンサル会社での先行きを見切り、職業訓練を経て、建築現場や配管工としての途を歩み始め、結構なカネを稼ぐ「ブルーカラー・ビリオネア」も出始めたと報道されている。

◆AIは日に日に進化しており、「SaaSの死」という言葉がはやり始めた。

定型的な文書ソフトや金銭的な処理を行うソフトも不要となるほか、医者、弁護士、税理士・会計士などが行っていた相談業務や各種報告書、決算書、確定申告書作成業務も大きく変わっていく可能性がある。

私自身の経験でも、手元の無料AIでさえ決算書を読み込ませれば、ある程度のもっともらしいアドバイスをしてくれる。

出来上がった文書に、更に注文を付ければ、ちょっと見では「行き届いた」と思われるような結構な経営指南書が一瞬で出来上がってしまう。

恐るべし、AI君。

◆スイスの職業学校

スイスでは、中期教育後期(高校生)のコースとして、大学(総合大学、教育大学)進学コース(約2割)、専門大学という進路の他に、スイス独自の職業教育訓練制度(Vocational Education and Training、略称VET)がある。

中学卒業生の6~7割の学生がここで商業・経営、卸・小売り、建築・土木、介護・産科など、職業全般にわたる実業を学ぶ。

これは学校での座学(週1~2日)と企業実習(3~4日)を組み合わせたデュアルシステム(二元制度)となっている。

このコースでは、2年後には国から基礎訓練修了証、3~4年後には能力取得証明書を取得できる。

VETでの学びは就職に直結しているため、職業訓練を終えた若者の失業率は極めて低く抑えられている。

また、得られた能力は汎用性があり、転職にも強いことになる。

かつてスイスでは義務教育を終えた時点で、大学進学か職業訓練に進むか選択することになっていたが、今では職業訓練で学んだことを極める専門大学に進学することも可能となっており、進路の変更は柔軟になっている。

◆継続教育

また就業後、資格取得などのキャリアアップへのサポートを企業が行うことも、約8割の中小企業で行われているという。

AI時代にあって、スイスの実学教育システムが新たな脚光を浴びるかもしれない。

また日本では、高卒後の就職にあたって時代錯誤ともいえる硬直的な1人1社制度がある。売る手市場に変わった今日、職業選択の範囲を著しく狭め、就職後にも会社とのマッチングに問題が生じており、入社後早い段階での離職率が高まっていることからも、スイスの制度に学ぶことが必要ではないか。

(学23期kz)

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