深夜食堂「蛇の目寿司」
1970年代、山口大学経済学部(亀山校舎)の学生たちは鳳陽寮や
亀山、一の坂川周辺の下宿などで暮らしていた。
若かった学生時代、深夜になると、腹が減る。
当時、山口には深夜営業のコンビニや牛丼店はなかった。
◇午前零時も営業
友人と議論(1970年代は熱い時代だった。私たちは政治、文学、
恋愛、そして人生論などをめぐって激しく語り合った)や麻雀で
夜が更けると、だれかが言い出す。
「腹減ったなあ。蛇の目に行くか」
「異議なし」
蛇の目とは山口駅方面の裏通りにある「蛇の目寿司」のことだ。
この店は山口では珍しく、午前零時を過ぎても、営業している。
◇大盛りカツ丼
のれんをくぐる。年配のおかみさんがしゃがれた声で「いらっしゃい」という。
私たちは席に座るや、メニューを見ることなく、早速、注文する。
「カツ丼、お願いします」
「僕も、カツ丼」
「私も・・・。」
学生が寿司を注文することはまず、ない。決まってカツ丼である。
大盛りのカツ丼が出てくる。
豪快にかっこむ。うまい。完食。満腹。大満足。
◇伝説
カツ丼1杯でおなかいっぱいになった。
だが、経済学部の某先輩がお代わりを注文して2杯、たいらげたという
伝説(私は目撃していない)が語り継がれていた。
寿司屋のカツ丼。
昭和の時代のよき思い出である。
(元山口大学経済学部生)