五橋余話

          「五橋」余話

私は日本酒をこよなく愛する者です。

トピックスに掲載された「長州学舎」を興味深く、読みました。

とても面白い記事でした。

 さて、文中に記された「五橋」(ごきょう・山口県岩国市の銘酒)のくだりを

読み、ふと、ある出来事を思い出したのです。

 数年前(コロナ禍の前)、山口県防府市で義母の7回忌の法事が

営まれました。当日は台風直撃のような嵐でした。

 法事が無事、終わりました。席をかえて食事会です。豪雨の中、送迎マイクロバスに乗り込み、佐波川の川岸に建つ料亭に向かいました。

 女将さんが座敷に現れ、「お酒はなんになさいますか」と聞きます。

私は深い意味もなく「五橋をお願いします」といったのです。

いったん下がった女将さんが再び、座敷にやって来ました。

 「あいにく、五橋は切らしております。今、買いに行きますので

  しばらく、お待ちください」

 「あ、いや、いや。五橋でなくても、いいですよ」

 「もう、買いに出ましたので・・・」

 窓から外を見ると、店の男性が傘を差して出かけていくではありませんか。

 嵐の中を・・・。

 しばらくして五橋が座敷に運ばれてきました。

 我々一同は 心して五橋を飲んだのです。

 とてもおいしい酒でした。

 (元山口大学経済学部生)