◆外国人買い物客
今でこそコロナで海外からの買い物ツアー熱が収まっているようだが、コロナ前には銀座8丁目あたりの高速道路の下にはいつも大型バスが何台か停まっていた。銀座のブランド店を訪れる外国人買い物ツアー客を乗せたツアーバスだ。
彼らは「割り高」ではあるが、精巧に作られた魅力的な日本の電気製品を買うために、また安全性に優れている食品、薬品、化粧品を買うために貯金をし、多少無理をして日本に買い物に来ているのだろうと思っていたが、果たしてそうか。
今から考えれば、コロナ前から日本の製品を始め、不動産などサービスを含めた日本のモノやサービスが安いために、来日していたのかもしれない。
◆100均ショップ
日本の「100均」、すなわち100円均一ショップの大手数社が銀座に集まっており、ニトリも銀座に出店した。
一握りのIT長者は別にして、日本の平均的な消費者の購買力が落ちた傍証かもしれない。
日本の大手百均製品の買い付け先であったはずの中国では、「10元ショップ」がある。ドル・円が135円まで下がったような円の独歩安となった昨今では、「10元ショップ」を円換算すれば200円ショップになる。
アニメの世界では中国が日本に作画を下請けに出しているという話もある。
◆不動産にも買いが
大きい買物もそうだ。北海道の雪はスキーに適しているとして、外国人がロッジを買う。
日本の温泉もさることながら、日本の水資源、すなわち水源地にも外国資本の手が伸びているようで、日本の防衛基地や、原発の立地近くの不動産が購入されれば、安全保障の面でも大きな問題となるはずだが、日本ではこの手の外資を規制する法制度の整備は間に合っていない。
企業でもそうだ。1ドル80円を切った1990年代初頭の円高時は、日本国内から輸出が難しいとして、主に製造業の生産拠点を消費地にも近い欧米や、東南アジア、中国にシフトさせたが、最近では国内回帰の動きもある。サプライサイドの安全確保の観点から国内回帰が起こったかと思いきや、単にそうではないようだ。日本で生産する方が割安になってきたことも大きな要因になっているようだ。M&Aでも「日本」が買われている。
◆若者の車離れ
韓国の1人当たりGDPは日本を超えた。日本は韓国よりも貧乏になったというのはショッキングな話だ。
若者の車離れが起きて久しいが、若者が車への興味を失ったのではなく、貧乏で車を買えなくなったのかもしれない。
日本人の平均年収は430万円、車は300万円もする。
平均年収はこの30年で1割下がっているが、車は安くなっていない。トレンドとして、むしろ高くなっている。
若者は環境に配意し、無駄なものは保有せず、所有よりもシェアして使う方を選ぶとする見方もあるが、買えないからこその負け惜しみかもしれない。
(学23期kz)