続・人間ドックのすすめ①

 私は昨年(2021年)2月、人間ドックを受けた。

重大な疾患が見つかった。

腹部大動脈瘤・・・。

放置すると、破裂。死に至る恐ろしい病気だ。昨年7月に大学病院に入院。外科医4人による大手術を受けた。手術は成功し、無事、退院した。

 このときの闘病記は「人間ドックのすすめ」(ホームページ下段のアーカイブ、2022年3月に収録)で紹介した。

 あれから1年が経過した。自宅療養を経て、社会復帰。仕事、役職、趣味、旅行、そして孫の世話・・・。元気に暮らしている。

 ところで、この闘病記「人間ドックのすすめ」には続編があるのです。

◇冠動脈に異常

 昨年7月、腹部大動脈瘤で大学病院に入院した。そのさい、全身の精密検査を行った。心臓カテーテル検査で、私の冠動脈に異常が見つかった。冠動脈は心臓を動かす大切な動脈だが、3カ所が閉塞寸前という。

大学病院の一室で説明を受けた。特殊な手法で撮影した心臓周辺の生々しい写真を、若い外科医が示す。確かに3カ所の血管が極めて細くなっている。閉塞どころか、ちぎれてしまうのではないかーと不安になるほどだ。

青年外科医は恐ろしいことをいった。淡々と・・・。

「閉塞すると、心臓が止まる恐れがあります」

青年外科医は、まず、喫緊の課題である腹部大動脈瘤の手術を実施。数カ月を経て、体力が回復してから、冠動脈の手術を行うことを勧める。私に異存はない。

「お願いします」

◇ふたつの手術方法

腹部大動脈瘤の手術が無事、終わった。1か月間の自宅療養後、私は、冠動脈手術について調べた。複数の手術体験者にも話を聞いた。

冠動脈の疾患にはふたつの手術方法がある。

【カテーテル手術】

狭くなった血管に手首や太ももの付け根などから細い管を通して拡幅する。胸部を切開しないので、身体への負担が少ない。数日で退院できる。ただし、再発する恐れがあるという。薬も大量に服用しなくてならない。

【バイパス手術】

全身麻酔をして胸部(喉元から胃袋のあたりまで)にメスを入れる。心臓をおおう胸骨を切開し、冠動脈をむき出しにする。足などの血管を切り取って、冠動脈につなぎ、バイパスを開通させる。完治するが、手術時、大量に出血。身体への負担も大きい。切開した胸骨が回復するまで3カ月を要する。

さらに恐ろしいことに手術中に死亡するケースもまれにあるという。

昨年9月、大学病院で診察を受けた。冠動脈疾患の手術方法について相談する。

私はカテーテル手術を希望した。

だが、青年外科医は、疾患が3カ所(しかもカテーテル手術が難しい箇所)あることなどを理由にバイパス手術を勧める。

私は逡巡した。その日は結論を見送った。

10月に2回目の面談が行われた。

結局、信頼する青年外科医の方針に同意した。

(東京支部 S)