山口大学経済学部同窓会 鳳陽会東京支部
【8月 トピックス】
私は、2年生まで山口市内にあった鳳陽寮で過ごし3、4年生は寮から近い栗本小路に下宿をしていました。
色々な面白いアルバイトをやってきました。ビアガーデン、国鉄バスの車掌、測量支援、家屋解体等がありましたが、その中でも鳳陽寮の頃に何度か行った湯田温泉にあった緑屋旅館のアルバイトは何とも奇妙でワクワクするものでした。
当時、私は鳳陽寮の南寮(寮には南寮、中寮、北寮、西寮、西北寮の5寮が残っていた。)
の2階に居室があり、寮の玄関/事務室に近かった。
事務室からアルバイト募集の掛け声がスピーカーから流れるとバタバタと脱兎のごとく志望者が集まりました。幸いに私は事務室に近いせいでアルバイトにありつけていたように思います。このころには鳳陽寮も食堂が火事になったりして過疎地帯になっていたように思います。
アルバイト募集の時間は、朝ではなく夕方でした。温泉旅館ですからアルバイトには食事と温泉入浴がついて正味2~3時間で5百円程度のアルバイトでした。
まず、緑屋旅館に4~5人が自転車で到着すると、ご飯を頂きます。腹が減っている学生ですから、この時とばかりに茶碗で3、4杯を掻き込みます。確かボート部の学生だったと記憶していますが6杯食べた猛者がいました。先にご飯を食べたのか仕事してから食べたのか。かれこれ50年前のことで記憶が霞んでいるのはご容赦ください。
さあ! ご飯もいっぱい食べたので旅館の印半纏を着てアルバイトの開始です。
アルバイトは、宿泊客の布団敷です。小部屋から大部屋までの部屋の布団を宿泊客が部屋に戻るまでに敷いておくのが仕事です。確か初めに仲居さんなどから布団の敷き方を教えてもらってから開始をしたように覚えています。
新婚さんの布団の敷き方が独特で何とも艶めかしい感じだったのを覚えています。
布団を2組単純に敷くのではなく、2組の布団がさも一組の布団に見えるように敷いていくのです。敷布団は普通に2組をぴっちりとくっつけて敷いていきます。
次に掛布団ですが、2組の掛布団を真ん中で重ね合わせて敷いて両端を真ん中に折り返してあたかも2組の布団が1組の布団に見えるように敷いていくのです。
部屋に誰もいないと思っても、“失礼します”とお声がけをして布団敷を始めるのですがお部屋を開けたら、なんと“新婚さんが仲睦まじくされていた!!”というようなこともあったと同僚から聞きました。
私は残念ながらそのような僥倖には恵まれず、団体客の布団をひたすら敷いていたように記憶しています。
汗だくになって布団敷が終わると温泉にゆったりと浸かってから、また自転車で湯田温泉から鳳陽寮に戻ったのを覚えています。何とも面白いアルバイトでした。
数年前に山口を40数年ぶりに訪ねることがあり、昔の思い出を探してみましたが、
緑屋旅館はとうの昔に廃業されたと近くの八百屋さんで伺いました。
大学時代の自分の記憶も段々と薄れていく中でなぜか布団敷きのアルバイトを懐かしく思い出します。
(経済学部経営学科 学23期 S.K)
山口大学経済学部同窓会 鳳陽会東京支部
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