【学生へのエール】
山口大学経済学部同窓会 鳳陽会東京支部
【2023年2月トピックス】
我々は少なくとも授業料の面で、今の学生諸君よりも恵まれた世代であったことは述べたとおりだ。
こうした状況でのコロナ禍。
求人数も減り、学資を稼ぐアルバイトに就くのも難しく困窮学生も出た。
◆恵まれていた世代、今もなお・・・
こうした学生に、恵まれた世代はどう向き合うべきか。
一般的に、現役世代はフロー(所得)が中心でストック(資産)が少ない。
年金中心の高齢層は逆で、フローは少ないが、これまでコツコツと蓄えた貯蓄に加え、なにがしかの退職金もあり、資産リッチになっているはずだ。
こうした場合、貧富の差の調整、すなわち、恵まれた層から恵まれない層に富を移転させる再分配装置の一つとして税がある。
しかし現在の税制はフロー(所得)に税を賦課するのが中心だ。所得税、法人税然り。消費税でもそうであり、そうであるならば、この下では所得を多く稼ぐ若者が税を多く負担し、逆に所得の少ない高齢者の負担が軽くなる。
では、高齢者が多く保有する資産への課税はどうか。
資産への課税は薄い。
先ず、国税にはストックに課税する資産税や財産税はない(相続税については後述)。
固定資産税は不動産というストックに課税されるが、国税ではなく地方税だ。
すなわち国の懐には入らないため、国の所得再配分の財源としては使えない。
また株や投信などの高齢者が多く保有する金融資産の利子や配当に対しては優遇的な分離課税が適用されており、高齢者に優しい税制になっている。
財政支出についてみても、年金・医療・介護など各種福祉の施策は手厚く、これまた高齢者に有利になっている。
要は高齢者はシルバー民主主義の恩恵にたっぷり浴しているということだ。
すなわち、国として恵まれた層から恵まれない層への富の移転にはあまり期待はできない。
しかし、こうした中で、恵まれた層の思いが直接届くような若者支援、しかもピンポイントで効果が生じる個人的な富の移転行為として寄付という手がある。
◆身の丈に応じて
我々の子どもたちは我々の現役の時とは異なり、所属先の会社の各種福利厚生が削減され、親としての我々に頼ることが増えている。また、孫が居たら居たで出ものも多い。
話はそこから先だ。
こうした家族・親族支援もさることながら、最近は生活苦にある後輩の山大生諸君を少しでも応援できないかと思うようになってきた。
もちろん、身の丈に応じ、できる範囲での話だ。
◆相続税をにらんで
平成27年以降相続税の基礎控除が引き下げられ、相続税を払う例も多くなっている。しかし納めた相続税の分はどこに使われるか不透明だ。恵まれない学生に効率よく向かうとは限らない。
相続税が出そうな場合、何がしかをピンポイントで学生支援に回す、すなわち寄付も望ましい選択肢の一つだと思うようになった。一回限りの思い付きでもいいのだ。
高齢者と若者。
若者への丈に応じた小さな支援。
運命共同体という言葉は大げさだが、高齢者と若者が共倒れにならないためにも、配意しないといけないなという気がしてきた。
大学卒業50年。
歳のせいかもしれない。
・・・完
(学23期kz)
山口大学経済学部同窓会 鳳陽会東京支部
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