山口大学経済学部同窓会
鳳陽会東京支部
【2023年9月トピックス】
◇番茶
たしか、この屋号だったと思う。私の好物が鯖の塩焼き。鯖の塩焼き定食を出す店で、ヤマグチで一番気に入っていた店が番茶だ。鯖の焼き上がりは炭で黒っぽく、焦げの苦みが多少気にはなったが、それを割り引いても十分満足できた。
鯖にはシジミの味噌汁が添えられており、だしがよく効いていた。
御飯もうまい。一粒、一粒にコクがあり、うまい。さだめし有名銘柄のコメを使っていたのだろう。
当然ながら、大き目の茶碗に盛られた御飯を、一粒たりとも残したことはない。
週に一度はこの店に通った。
ここに経済学部の同期生で福岡の名門県立高校C丘高校出身のF川君がアルバイトをしていた。軽音楽部のリーダーで、身体は大柄。四十男にありがちな、でっぷり太った体型だ。腹も見事な太鼓腹。
髪は独特なラーメンヘアー。そのラーメンヘアーを伸ばしており、だらしなく垂れたラーメンヘアーを、時折面倒くさそうに顔を振って正す。
不思議なのは、昼といい、夜といい、いつ店に行ってもF川君がその店にいたことだ。
授業はどうしていたのか?
単位は大丈夫か?
部活は大丈夫か?
取り纏め役として部活に顔を出さなくていいのか?
ほんとにアルバイトなのか?
何か事情があるのだろうが、その問いを彼に向けたことはない。
その店では鯖の塩焼きを堪能することに専念したかったからだ。
というわけで、このF君、私の中では卒業するまで、謎多き人物のままであった。
(学23期kz)
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