山口大学経済学部同窓会
鳳陽会東京支部
【2023年 10月トピックス】
◆都築忠七(1926年~2020年)
マルクス主義が流行った時期、この時には時代背景として、世界的に「階級」の発生、労働者の窮乏、貧困、失業、1917年のロシア革命、また日本では1918年~1922年の米騒動、1923年の大震災、1931年の満州事変が起き、マルクス主義に風が吹いていた時代でもあった。
この頃、アカデミズムの左翼が検挙された。河上肇もその一人だ。河上と同時に検挙されたのが後に一橋大名誉教授となった大塚金之助だ。
大塚も河上同様、若くしてコロンビア大統計的経済理論を学んだいわゆる非マル経学者だが、英国、ドイツ留学中にマルクス主義に傾倒していった。
ロンドン時代に大塚は、シドニー・ウェッブから社会思想史を学び、感化されたようだ。
大塚が一橋大の教授在任中の教え子の一人に社会思想史研究者の都築忠七・一橋大名誉教授がいる。
実は都築忠七は1947年の山口経済専門学校卒だ。
山大経済の学部長を務めた有名教授・安部一成先生と同期にあたる。
都築は山口経専を卒業後旧東京商大(一橋大)に進み、大塚ゼミに入る。
学生時代はプリンストン大に留学、教職についてからはオックスフォード大とケンブリッジ大で博士課程を修了し、一橋大で教授を務めた。
1992年に日本学士院賞、恩賜賞1992年を受賞している。
都築は前稿で紹介した玉野井・東大名誉教授の山口での8年後輩にあたる。
社会主義思想史が専門で、特に英国の社会主義思想、社会主義活動の研究が専門だ。
◆エリノア・マルクス
都築にはカール・マルクスの末娘エリノアを描いた著作「エリノア・マルクス」がある。エリノアは16歳でマルクスの秘書となり、マルクスの出席する会議や集会に随行しており、1884年にマルクスが逝去すると、男女平等実現、労働者の地位向上に向けて、社会運動家として活動し、リーダーシップを発揮する。
◆ミス・マルクス
エリノア・マルクスを描いた映画(2020年)がある。「ミス・マルクス」だ。
この映画の中に面白いくだりが出てくる。
エリノアが父・Kマルクスに問う。
「お父さんにとって幸せとは?」
「闘うこと!」
(学23期kz)