山口大学経済学部同窓会
鳳陽会東京支部
【2024年 4月トピックス】
◇日本人の愛社意識の変化
今年の春に卒業した鳳陽会社会人一年生諸君。社会人への一歩を歩み始めた。親御さんも一安心されたことだろう。
せっかく入社できたが、およそ3年で会社を辞める若者が3割程度いるという話もある。
その昔、日本企業には愛社精神に溢れ、家族を犠牲にしてまで激務をこなし、退職まで会社に忠誠を尽くした“企業戦士”が、数多(あまた)いたと語られるが、今どきの若手会社員は、人種が変わったかのように会社への愛着心、忠誠心が低下したというデータもある。
若者は急速に会社への忠誠心を失くしてしまったのだろうか。
◇ショッキングな国際比較調査結果
「従業員エンゲージメント」という従業員の意識調査がある。「従業員満足度」に代わり、会社への関与度合い・愛着心を測る経営指標の一つだが、この値を国際比較したショッキングな調査結果がある。
多少古いデータになるが、世界的な世論調査会社、米・ギャラップ社が2011年から12年にかけて142か国、20万人を対象に行った調査では、「会社にエンゲージしている」と答えた日本人は先進国中最も低い7%(百分比。米:30%、豪:24%)という結果が示された。
その後、他の調査会社による調査結果も立て続けに発表されたが、そのどれも日本の値は先進国・途上国に比べて最も低い値を示していることで一致している。この時の報道ぶりは「世界で際立つ日本人の会社への忠誠心の低さ」というものであった。
さらにショッキングな結果が出たのはエーオン・ヒューイット社が2014年のアジア太平洋地域を対象とした調査だ。
ここで日本は「Actively Disengaged」、すなわち「会社への嫌悪・反感」を示す度合いが33%(百分比。調査対象国平均:17%)と調査対象国の中で、突出して高い値を示したのだ。
◇大雪の中でのマンハッタン勤務
海外では悪天候の中、出社するのは日本人駐在員が多いという。何も海外で特徴的にみられる話ばかりではない。かつて東京ではよく見られた光景だ。
この理由として、日本人サラリーマン特有の、以下のような“信仰”があったように思える。
- いかなる時でも休まないのが「真面目さ」の証
- 毎日会社に長時間滞在すること自体が「熱心さ」の証
- 災害時にこそ出社するのが「会社忠誠心」の証
すなわち、こうした日本人サラリーマンに特有の行動は、日本人の会社員が人事当局に「証として、人事評価されるはずだ」との“信仰”があるからではないだろうか。
しかし、悲しいかな、日本では欧米に比べ、客観的で洗練された人事評価基準は確立されているとは言えない。こうしたことも、“信仰”が消えない原因になっているのではないか。
もっとも最近のコロナ禍の後では、こうした“信仰”から解放され始めたのは喜ばしいことだ。
「形として仕事をしている姿」を過度に評価する人事考課、客観性を欠く恣意的な人事考課、これこそ日本の生産性が上がらなかった要因だったのかもしれない。
(学23期kz)
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