山口大学経済学部同窓会
鳳陽会東京支部
【2024年 1月トピックス】
冬。フグのうまい季節がやってきた。
前回は、山口大学経済学部の学生時代から「一生に一度は食べたいものだ」と願っていた本場・下関の名店、春帆楼(しゅんぱんろう)にてフグを食した。
今回(2024年1月)は、妻とともに韓国・釜山を訪れた。
目的はただひとつ。真っ赤なフグ鍋をいただく。
◇久々の成田空港
成田空港から大韓航空機で釜山に向かう。電車で成田空港駅に到着。
第1ターミナル・北ウイングを目指す。現役時代は年に何回も成田空港から世界に飛び立っていたが、コロナ禍もあって久々の成田空港だ。
大韓航空の受付で搭乗手続き。事前に航空機予約票をプリントして準備していたが、パスポートを提示するだけで手続きは完了した。保安検査を済ませ、出国手続き。12時45分発の大韓航空機に乗り込む。順調に飛行。玄界灘を越え、15時20分に釜山空港に到着した。
郊外の空港から地下鉄を乗り継いで港町の釜山市南浦(ナンポ)へ。韓国の地下鉄の進化に驚いた。地下鉄の駅には駅舎がない。駅員もいない。完全自動システムだ。
どうやって地下鉄に乗ればいいのか。
戸惑ったが、市民に乗車券の買い方(自動販売機)、乗り換え方法などを教えてもらい(私は少々、韓国語を話せる)なんとか、ホテルに辿り着いた。
◇いざ、釜山のフグ料理店へ
日が暮れる。ホテルを出発。地下鉄に乗り込む。ネット(日本語で釜山の料理店を検索できる)で事前に調べたフグ料理店「釜山ポクチブ(フグの店)」に向かう。交通の要所、西面(ソミョン)で下車。地上に上がる。道路は放射線状に伸びている。目指す「釜山ポクチブ」の住所は文化路25番地だ。手帳に記してある。さて、どの道を進めばいいのか。わからない。通りかがったおじさんに聞く。おじさんは適当にいった。
「こっちのほうじゃないか」
どうもあやしい。
若い男女2人組に改めて聞き直す。
若者はさっそく、スマホで店を検索してくれた。
若い女性が日本語でいった。
「この道をまっすぐ行って。左側にあります」
―えっ、日本語が上手ですね。どこで習ったんですか
「どくがく・・・。自分で日本語を勉強しました」
―すばらしい。ありがとう。
彼女が教えてくれた道を進む。確かに左側にフグの店があった。ネオンが輝いている。
◇フグ鍋に焼酎
店内に入る。高級料理店ではなく、食堂といった雰囲気だ。おじさんグループや男女二人連れが焼酎をあおりながら、フグ鍋をつついている。
店の女将さんに早速、注文する。
「フグ鍋2人前。それと焼酎1本」
サービスで小皿がたくさん、出て来る。フグの天ぷら。フグの皮のあえもの。海藻類。そしてキムチなど・・・。箸をつけずにじっと待つ。
しばらくして、ぐつぐつ煮えたフグ鍋が運ばれてきた。ガスコンロの上に置く。
大量の唐辛子で真っ赤だ。フグのぶつ切り。フグの白子。セリなどの野菜類。全部、鍋にぶちこんで煮込んでいる。
日本では大皿に盛った淡白で上品なフグの切り身をすこしずつ、鍋に入れ、煮えたところをもみじおろしとポン酢でいただく。高級店では女性従業員がなべ奉行を務め、給仕もしてくれる。酒は純米吟醸の冷酒がいい。盃に酒を満たし、静かに食する。
だが、韓国は豪快である。フグ鍋には唐辛子とニンニクがたっぷり入っている。野趣あふれるフグ鍋をふうふういいながら、食らう。焼酎を一気飲みする。うまい。またたくまに焼酎が空になった。
「おばさん、焼酎、もう一本」
フグ鍋2人前を食べ切った。このあとにもうひとつ、楽しみが待っている。残った汁にごはんをいれて真っ赤なフグ雑炊に。これがまた、うまい。辛い。
釜山のフグ鍋を堪能した一夜であった。
(鳳陽会東京支部 S)