少子化考 ①

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2024年 2月トピックス】  

◆止まらない少子化

日本の少子化が止まらない。

少子化については様々な原因があるのだろう。

これまでいろいろな少子化対策が打たれたが、奏功していない。

どうやら若者の意識が変わってきているようで、このことが大変気に掛かっている。

すなわち子を育てる以前に、子供を産むことこと、より根源的に結婚そのものに対する意識が変わってきているようだ。

しかも急速に。

◆出生率

日本は深刻な低出生社会に陥るとされる出生率1.5を1995年以降下回り続けている。2月7日の厚労省発表によると、昨年の出征者数は80万人を割った22年に続き、8年連続で過去最少を更新、78万8千人となった。 ある大手民間研究機関では2023年の日本人のみの出生数は前年比6%弱減って73万人を切るという。

これに比べかつての「団塊の世代」は何とも凄かった。

1947年から1949年まで、出生者数は3年連続260万人台だ。

今から考えると、すごい時代があったものだ。

◆比較的高い山口の出生率

2022年の出生率は全国平均が1.26。

昭和40年には2.00だったが、平成17年に1.38まで低下、その後持ち直したが、足元では平成27年の1.60をピークに再び低下し始めている。

都道府県別にみると、沖縄がトップで1.70、ワーストは東京の1.04。

都会ほど出生率は低い。渋谷は0.99,新宿、豊島区とも0.93だ。

山口県の合計特殊出生率をみると、1.47と結構高く、全国11位となっている。

山口県の出生率が高いのは都市化が遅れている証左というのか、いや、子供を産み育やすい環境と周囲の理解があり、子供をもうけることに対する古き良き伝統が他県よりもまだ少しは残っているという言い方にしておこう。

◆世界的な少子化

少子化がみられるのは日本だけではなく、世界規模での現象になっている。

中国や韓国然り。インドもだという。

また、これまで人口爆発が懸念されていたアフリカでも出所率が下がってきている。

◆少子化の原因

少子化の原因については多くの要因が指摘されている。

すなわち女性の地位向上や高学歴化。

途上国では乳児死亡率が低下し、これまでのように多く生まなくても良くなったということかもしれない。

アジアではどうか。

中国や韓国はどうか。

◆中国や韓国の事情

中国では若者の就職難、都市部の地価高騰、きつい住宅ローン返済、厳しい受験競争に伴う塾や習い事などが家計を圧迫しているという。

また、人口構成上の男女差もある。すなわち、農村部では世継ぎとして男が求められてきたことから「男余り」の状態にあり、嫁を探すのが容易ではないという。

韓国ではもっと危機的な状況にある。

韓国では「家を継ぐ」という意識が強く、かつては男の子が生まれるまで出産の努力を続け、これが出生率の引き上げに寄与していたが、最近の若者には家を継ぐという意識が薄れているという。

また結婚するには要件があるという。安定した職に就いてから、また家を買える資金がある程度溜まってから、との意識が社会通念になっているという。

こうした社会通念が残る中で経済難の時代にあっては、こうした社会通念に基づく結婚へのハードルの高まりが少子化に直結する。

また、子供より自分の仕事や生活を大切にする意識も幅を利かせているという。

いわば自分中心の「わがまま」意識だ。

韓国の足元の合計特殊出生率は2022年で7年連続低下し0.78となっており、2025年には0.65まで低下するという。

また最近、特に若い女性には高学歴、社会進出、職場でのキャリアップをすべく肩を押されているが、家庭には変化が見られず、女性には家庭での負担が重くのしかかっており、結婚、ましてや子育てに踏み切れない若い女性が増えているという。

また、インドでも少子化が進んでいる。

女性の社会進出、結婚や出産に対する考え方の変化、子供の教育費や生活費が高くなっていることも、少子化の要因だという。

日本の場合どうだろう。

つづく

(学23期kz)

コメントを残す