山口大学経済学部同窓会
鳳陽会東京支部
【2024年 3月トピックス】
◆子供に対する若者の意識変化
若者の子供に関する意識が急速に変わってきているようだ。
2月5日の朝刊に大学生を対象とした子供に対する、ある意識調査結果が載った(マイナビ調査、25年卒業見込みの大学生、大学院生)。
それによると19.2%と5人に1人が「子供は欲しくない」と答えており、昨年の調査結果(13.1%)から急増している。
その理由(複数回答)として
●うまく育てられる自信がない 57.6%
子育てはマニュアル本の通りにはいかない場合が多い。子供はよく泣くし、わがままだ。上手く育てることができないと自信喪失になり、「産後うつ」にもなりやすい。
●自分の時間が無くなる 51.5%
結婚すれば、これまで享受してきた自由を謳歌することはできない。
結婚も拘束時間が増えるが、子どもができれば、母親は拘束時間が急激に増え、これまで謳歌していた自分の自由時間が削がれる。
●子育てに伴う責任を負う自信がない 49.5%
子供を育てる親として逞しさに欠ける嫌いがあるのでは。責任を負う自信がない。責任を取るのが嫌だ。責任を負わせられるのが嫌だということ。批判されるのも嫌だということだろう。
子どもを豊かに育てられる経済環境になく、子供に惨めな思いをさせたくないということもあるだろう。
●精神的に不安 43.8%
妊婦になると今までのように活発に動ける自由な身体ではなくなる。今までと全く違う状態になることで精神的に不安になるのだろう。マタニティーブルーという言葉もある。
また、五体満足の子が生まれてくるとは限らない。
●子どもを持つ必要性・メリットを感じない 36.9%
子供に対する認識の話で、「子供は宝」、「子供は資産」といえるのか。場合によっては負債ではないのかという意識があるのかもしれない。
いじめ、親への反抗、不登校、犯罪に走る子もいる。
たとえ子どもが首尾よく大学を卒業したとしても、うつ病で家に引きこもることもある。
また子どもの面倒を見ても、将来、我が子が親の面倒を見るとは限らず、そうした子なら子供は要らないと明言する若者もいる。
◆「生活水準を落とす」結婚
個人の感覚として、結婚は生活水準を落とすという意識が強まっている可能性がある。
「中流階級からの転落」を回避したいと答える若者がいるが、本音だろう。
どういうことか。
いま、十分満足できる暮らしをしているとする。
すなわち、会社でのキャリアを磨くため、パートナーに邪魔されず勉強もできる。子どもの世話で邪魔されることもない。親と同居していれば、親からの食事や金銭的なアシストもあるだろう。
特に女性の場合、旦那の両親の世話をすることもない。
昔と違って、身の回りに遊び道具も揃っている。
ゲームもできるし、SNSで四六時中、友達ともつながることもできる。
不自由のない暮らし。自由気ままなで、ある意味、快適な生活だ。
こうした自由に「わがままで何が悪い!」と居直る若者も多い。
◆「親離れ」と「子離れ」
若者にとって魅力が薄れる結婚。
若者は家を出ず、親に頼る関係を続ける。
家を出ると家賃は高い。デフレの時代も家賃は下がらなかった。
しかし、実家に居れば家賃もかからない。これが魅力だ。
親もそうした我が子をうるさく言わず、可愛がり、アシストしていることも多い。
いわゆる「子離れ」していないとは言わないが、子供と「良好な友好関係」を保っている
親も私の周りに多い。
ここには子供と親の独特の力学、ある種温かみのある安定的な力学が作用している。
つづく
(学23期kz)