岡山支部からの投稿
山口大学経済学部同窓会
鳳陽会東京支部
【2024年 3月トピックス】
山口大学経済学部OBのkzさん、Sさん、そしてKYさんの投稿に誘われて私も書いてみました。
◇青きとき
中原中也の詩と言えば、あまりに有名な「汚れつちまつた悲しみに」がある。
背景には中也自身の失恋の実体験に基づくものと言われている。
青きとき、ある意味陥りやすい純愛への潔癖症、そして、愛すべき恋人を友人に奪われてしまう悲運を悲しみ、心の叫びを静かに詠う。
◇中也の詩集
私は山口大学経済学部3年から、山口市平川の農家の下宿で暮らした。2階に2部屋あった。隣の部屋には、理学部物理学科のK君がいた。薄い壁があったが、ほぼふたつの部屋を行き来し、2年間を共に過ごした。
K君のお気に入りの詩人が中也であった。
彼の部屋に入ると、物理を中心とする専門書が並んでいた。そして何気なく、机の端に中也の詩集がいつも置かれていた。
全国紙1紙の購読料をふたりで折半して、読んだ。新聞に掲載されている様々な問題をふたりでよく議論した。
日本の教育では大学受験のとき、理系、文系の区分が大きく影響し、“知の分断”を生むともいわれている。ふたりは文理の壁を乗り越え、なるべく共通のわかりやすい言葉で議を交わした。むしろ文理の融合でさえあったともいえる。
◇友が奏でるギター
そして夜な夜な、K君が奏でるギターに合わせて、ふたりで歌うのが何よりの楽しみであった。
よく歌い、終わりに歌ったのがCHAGE&ASUKAの「終章(エピローグ)」であった。この歌詞にもある意味、「汚れつちまつた悲しみ」があったとのではないか、と思いながら、最後にその詩をしたためよう。
汚れつちまつた悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れつちまつた悲しみに
今日も風さへ吹きすぎる
(中略)
汚れつちまつた悲しみに
いたいたしくも怖気づき
汚れつちまつた悲しみに
なすところもなく日は暮れる・・・
(岡山支部 B)