山口大学経済学部同窓会
鳳陽会東京支部
【2024年8月 トピックス】
幕末から明治にかけて
◆日本の土産
コロナ後、外国人の旅行客が増えた。
彼らの日本土産の人気は和柄の巾着、折詰の寿司・弁当キャンディー、扇子、キット・カットミニの詰め合わせ、花紋の箸袋付き箸セット。舞妓姿のチョコボールというのもある。
幕末から明治にかけて外国人によく売れた土産は、日本の風景を映した写真だったという。
日本有名な庭園や名所旧跡を映したものではない。庶民の何気ない生活の一片を切り取った写真だ。
すなわち「木と紙」でできた家に、白い紙が張られた左右に動か出る戸(障子)の前に子供が遊ぶ姿。こうした庶民の一部を切り取ったものだったという。
石でできてはいない家屋。脆弱で安全とは思えない造りであり、そこに驚いたようだ。「安全性に乏しい」とは外国人から見た危機管理上の感覚であり、日本ではこうした家でも犯罪はごく稀にしか発生しなかったのが不思議に思えたのだろう。
以下、日本に滞在した外国人の日記から、彼らの目にどのように日本が映ったか、その一端を紹介する。
◆総領事タウンゼント・ハリス
ハリスは日本贔屓(びいき)ではなかったが、日記にこう書き残している。
「下田は貧困の地であったが、人々は楽しく暮らしており、食べたいだけ食べ、着物にも困っていない。家屋は清潔で日当たりもよく気持ちが良い。世界のいかなる地方においても、労働者の社会で、下田におけるよりも良い生活を送っているところはあるまい」。
◆混浴の評価
また彼は日本人を評して、喜望峰以東民族で、最も優秀であるとしている。ただその日本人がなぜ「混浴」のような下品なことをするのか理解できないとしている。
混浴を下品とみたハリス。
しかし、これは文化の違いだ。ところ変われば文化も変わる。
彼が「下品」と感じたのであれば、それはそれで仕方ない。
◆下品な振舞い
下品といえば・・・
ハリスは有名な問題を起こしている。
金と銀との交換比率が日本と諸外国で3倍の開きがあることに目を付け、日本での俸給を金(きん)に替え、大儲けした。
しかも公職在任中、通貨(為替)交渉の最中だ。
オールコック駐日公使や他の在外公館の館員や商人もこれを真似て、このため日本の金貨が国外に大量に流出するという問題が起きた。
この問題の張本人となったのがハリスだった。
これは混浴などのような文化の違いの問題ではない。
下品で破廉恥な錬金術だ。
いや、下品というより、外交官としてあるまじき行為だ。
現に、オールコック公使は母国から処分を受けている。
(学23期kz)