古本の限界効用!

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2025年1月 トピックス】

<岡山支部・岡山Bさんからの投稿>

◆今昔問わず、大学で使用する教科書は高い。”洛陽の紙価を高める”場合においても一般的に高い。また、読書百遍となれば、その本自身の学習における限界効用を逓増することが出来るのであろうが、試験の為のものとなると猶更限界効用は低減し、価格としても更に高く感じる。

80年代、国際経済概論を担当されていたのは、国際経済学科看板教授鈴木重晴先生であった。授業では、先生の教科書の指定はなかったように記憶している。

81年に刊行された先生の著書「現代社会主義貿易論」は、国際経済概論の中で各種貿易論の基礎となる解説がなされ、先ずは授業を受けるものには必携、所持すべき本であった。しかし、冒頭の様、専門書は高い。何とかならないかと当時3軒ほどあった古本屋を巡ったが、その本は売りに出されてはなかった。

たまたま見つけたのが、小島清教授著の「外国貿易」という本であった。これはおそらく小島教授が一橋で講義をされていた関係で著作された教科書的書籍であったのかもしれない。パラパラとの立ち読み、貿易論を論じていることを確認、これで、試験には勝負をかけよう!

◆ここでは当時の成績の優劣は問わないこととする。30年くらい時間の経過がして、その本の効用が日の目を見ることとなった。 何か!

◆民間の会社に勤務していた当時、決算監査の時、公認会計士に同行して常勤監査役の来社があった。事業所の責任者の一人として、製品棚卸監査の時、日常の業務、管理方法、棚卸の手順、そして、日常現場で職場で取り組んでもらっていた改善活動を紹介した。その決算監査後は、簡単な食事会を予定され、酒を共にする機会を得た。

何かの拍子で、常勤監査役が学生時代の話をされ、「僕は小島先生のゼミ生なんですよ」とおっしゃった。「えっ..、小島先生の「外国貿易」は学生時代に読んだことがあります」から始まって、その経過も含め、それなりに盛り上がったことは間違いない。

◆その後一週間ぐらいして、本社の取締役会でその常勤監査役が監査役報告として、自分が勤務していた事業所について、わざわざ少しコメントしてくださった話を伺った。仔細は省略するが、「社会工学的な視野も入れて、職場改善に取り組まれている」とコメントされていた。

「社会工学的な視野」??事業所で頑張ってくだって改善活動をされていた現場の皆さんに対するほぼ最高の称賛に近い言葉のようであった。

そのときの決算監査に問題がなかったのはもとより、その後もその常勤監査役と仕事を通じて、親しくお付き合いを戴いた。

◆昔、都市銀行で専務をされていたその方は、銀行での現役時代「営業五訓」と言う自分なりの営業訓を背広の懐に忍ばせ、気になる部下に配布をされていた様子である。自分の勤務先の何人かはその書き物を持っていた。しかし、所謂、職制による配布基準ではない。

「外国貿易」、そして、酒の席、そして旧高商の系譜の縁を戴き、その恩恵を少なからず受けた「営業五訓」である。

(岡山 B)

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