名前のはなし ①結婚式の挨拶

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2025年1月 トピックス】

名前は難しい。

最近、女性の名前には似通ったものが多くなり、覚えるのに苦労する。

以下は実話だ。ただし仮名ということにしておこう。

◆私の友人の娘の名前はエリコだった。歌が上手い娘で、今でもOLをやる傍ら、クラブでジャズを歌っている。

字は絵里子だったか江理子だったか。

いや、江梨子だったかもしれない。

友人は娘のことをエリコと言い、時々はエリと端折って呼んでおり、学生当時はなかなかハイカラな名前だと思っていた。

◆また中学時代には名がリエという品の良い同級生のお嬢さんもいた。

漢字は梨絵。

苗字は香月で、フルネームは香月梨絵だ。

何やら高貴な筋の方のような名前で、宝塚の生徒のような名前だった。

◆そのうちに、ごく親しい若者がお嫁さんをもらった。

私も結婚式に参列したのだが、お嫁さんの名はエリカさん。

恵理香さんだ。

◆それと相前後して、職場に転属してきた女性がいたが、その名前がリエさん。理栄と書く。

ここまでくると、よくわからなくなる。

◆或る時、結婚式に呼ばれた。

スピーチをしてくれという。

新婦の名は「リエ」さんという。

私はメモを見ないでスピーチをするタイプだ。

その時も新郎・新婦の名前はもちろん真っ先に記憶した。

数分のスピーチに笑いを取る箇所を3つほど盛り込んで、颯爽とマイクを司会者に返し、席についた後、ゆっくりとめでたい酒を飲むつもりでいた。

このため、スピーチは数日前から何度も練習したのだった。

名前も含め、笑いの間の取り方も含めて。

笑いのネタは上等。当日はイケルと踏んだ。

◆いよいよスピーチが始まった。

最初のまくら言葉をサラリと並べて新郎の名を語ったまでは良いが、新婦の名をド忘れしてしまった。

エリだったか、リエだったか

二文字だったか。

いや三文字かもしれない。

エリコ、エリカ、リエカ・・・違う!

やはり二文字だ。

絵、江、理、里、恵・・・

2秒ほどスピーチが止まり、恐ろしい沈黙が式場を包んだ。

マズイ、沈黙はまずい。

そこで賭けに出た。

新婦の名を「エリ」さんとしてスピーチを続けた。

5割の確率で当たっているはずだ。

しかし、どうも自信が持てない。

頭の中は真っ白で、スピーチの筋も吹っ飛んでしまった。

◆正解は「リエさん」だった。

友人が娘のことを呼んだ、慣れ親しんだ「エリ」名前がとっさに出た。

名前を間違えてしまった。

新婦の一族の方には、まったく申し訳ないことをした。

式の後、新婦のご両親に平謝りに向かったことは言うまでもない。

娘さんの名前には、似た名前が増えてきた。

とはいえ、決して名前を間違ってはイケナイ。

(学23期kz)

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