山口大学経済学部同窓会
鳳陽会東京支部
【2025年1月 トピックス】
岡山支部からの投稿
岡山 B
◆金沢の長町武家屋敷界隈の旧武家宅には黒松・赤松を左右に植えてある大層立派な門構えの宅がある。
松にはそもそも神が宿ると言われている。
そのせいか、能・狂言の舞台でも使われる能舞台の鏡板には複雑に曲がりくねって見事な枝ぶりの松が描かれることが多い。また、所謂正式な式典にも、小ぶりの松の盆栽(実は手入れをされ、何百年の樹齢を持っている)が飾られ、常緑樹、その翠の豊かさを我々に伝える。
松は一年を通じて緑を保ち、千年の齢を保つといわれる。うつろいやすい世の中の、うつろうもののみに目を奪われて、不変の真理を見失うようなことがあってはいけないという意味もあると、ものの本に書かれている。
◆そこで雌雄の黒松・赤松の違いを見ていこう。
黒松は文字通り全体的に黒目の色をしていて、防風林、防砂林に使われるほか、公園などにもよく植栽される。湿った土壌や、比較的肥沃的な土壌を好む。
一方、赤松は山の頂上部等の限られた地で自生することが多い。乾燥した瘦せた土地に育つと言われている。また、なかなかお目にかかることの無いまったけはこの赤松の根元、松露が落ちるところに自生すると言われている。
◆武家の世でもなく、現世に目を向けると宅地面積も猫の額ほどしかない中で、自宅に雌雄の黒松・赤松を植えると言うような不埒な考えには毛頭無理がある。
しかし、千年の翠の繁栄を願ってやまないのはやはり初老のつぶやきである。
◆北海道余市にあるウィスキー工場を訪問した時に、売店では黒ウィスキーと赤ウィスキーが販売されていた。両モルトウィスキー、黒は余市で、赤は宮城狭で作られている。
ここは上述の雌雄の黒松・赤松になぞらえて、床の間において飾るのも一興であろうと考え、今年一年は飾ってみようと思う。どうしても呑みたい、またブレンドして呑んだらどんは味なんだろう?とブレンダーの様な「飲欲」と闘ううつろいやすい自分をもきっと楽しめるであろう。
岡山 B