山口大学経済学部同窓会
鳳陽会東京支部
【2025年6月 トピックス】
◆限界効用説
経済学の体験、そして先生方との出合い
前稿で述べた労働価値説に対抗して限界効用学派が出てくる。
労働価値説は商品の価格を生産面から観察するのに対し、効用学説は「効用」を消費の側面、すなわち消費価値から観測するものだ。
しかし、この限界効用も計測することはできない。
その効用がどれだけなのか。
どのくらいの大きさなのか。
これが目に見える形で計量的にわからないのだ。
ここで苦労する。
そこでどうなったか。
◆ヒックス登場
ここで出てきたのがワルラスの弟子パレートの限界代替率(限界効用の比)の概念が出てくる。
すなわち二つの財の交換比率で、価値の測定はできるのだ。
相対的な形ではあるのだが。
ここで大事な人物が出てくる。後にIS-LM分析でノーベル賞を取ったJ・ヒックスだ。
ヒックスは限界効用の代わりにパレートの限界代替率を用いて、効用の相対的価値を測定することに成功した。
限界効用を限界代替率で置き換え、効用を可視化したのがヒックスだ。
こうして効用は計測可能のものとなり、効用関数を作ることが可能となった。
これによって消費者の需要関数が世の中に生まれることとなり、同様に企業側では消費財の供給関数ができ、消費財市場の均方程式ができ、経済学が精緻に発達していく起爆剤となった。
これによって消費者の効用関数が書け、効用を最大化する図が書けることになったからだ。
また、生産者は利潤を最大化させる生産関数を書ける。
これによって需要と供給が均衡する一般均衡理論が求められる。
近代経済学は、価格は需要と供給から決まることを所与として、そこから先の分析に注力しているのだ。
◆若い時にオックスフォード大で学んだKDさん(元中銀ガヴァナー)は、ヒック教授の金融論のゼミで、中央銀行の金融政策に対するコミットメントの重要性を学んだとされる。
KDさんはもともと理系。数学にも明るい。
留学中には経済紙ロンドン・エコノミストに投稿されたという。
また、留学先のオックスフォードの学寮にR・ハロッド卿が突然訪ねて来られ、経済学の論議をしたという話を日経の「私の履歴書」で披露されている。
◆KDさんは茶目っ気がある。
アルコールもちょい飲み派。ビールと「柿の種」がお好みだ。
軽妙に会話をされ、短時間のうちに、少年のように何度も大笑いをされ、サッと帰宅される。
そういえば、神奈川のゴルフ場で2度ほどラウンドさせて頂いた。
(学23期kz)
