トランプ劇場に思う 雑感その② CEA委員長
◆歴代委員長
これまでCEA(米大統領経済諮問委員会)委員長といえば、時の大統領の重量級のアドバイザーで実力十分の有名大学教授がその任を負うのが相場だった。
歴代の委員長を辿ると、グリーンスパン、フェルドシュタイン、スティグリッツ、イエレン、ハバート、マンキュー、バーナンキなど学識豊かで、後の政権の重要経済閣僚やFRB(米・中銀)総裁となる人物が務めてきた。
◆トランプの策
米国製造業の復活、米国の黄金期を取り戻すとする今回のトランプ劇場。
自由貿易の盟主だったはずの米国。その大統領が、自国の貿易赤字を減らすため、世界各国を相手に大掛かりな関税を引き上げ、さらにはドル高の是正で、貿易赤字の解消目指す都市、就任演説で「MAGA」を実現する米国の解放記念日とする演説を行った。
米国を偉大にするどころか、真逆のことが起きかねない。
自由貿易を破壊し、中国の台頭、国力の逆転を許し、自国の民からも、共和党内からもブーイングが出始めた。
こうした筋悪の政策に対して、誰かがチェックしないのか。なぜできないのか。
そもそも貿易赤字の解消を目指すというのが筋悪だ。
◆委員長はどこに
かつてはこうした筋悪シナリオのおさめ役がCEA委員長のはずだった。
CEA委員長は何をしているのか・・・というのが私の疑問だったが、何が、何が、スティーブン・ミランなる人物が委員長を務めており、トランプ政策の筋書きを描いているとされる。
ハーバードで経済学博士号を取ったものの、大学には残らなかった。30歳代にして、ヘッジファンドのストラテジストという肩書。
唸りたくなる。
世間の知名度も高くない。マーケット関係者の間でも「初めて聞く名前」との声も多い。
米国の大学では左傾化が進んでいるとされ、ハーバード大のサマーズ学長が辞任に追い込まれるといったことなどもあり、ミラン君も大学で生き残れないと考えて、違う道を選んだのかもしれない。
しかし、どう考えても矛盾の多い政策シナリオだ。
経済学者からも、「論理破綻している」、「政策ツール間の整合性が取れていない」、「未熟な政策」として批判が殺到しており、賛意を表明した学者は見当たらない。
こうした中、米を含め各国の株価は債権ショック以降、回復を続けており、マーケットは、政策の破綻を織り込んでいるのかもしれない。
CEAの委員長には目付役、いや大目付役も要る。
(学23期kz)
