山口大学経済学部同窓会
鳳陽会東京支部
【2025年5月 トピックス】
規制緩和の話は昔からまな板の上には乗るものの、どうも話が先に進まない。
今回トランプ政権が仕掛けてくるディールの際、過去にも焦点のひとつになったように、今回も自由化・規制緩和が問題になる可能性がある。
規制緩和については安部政権が「ドリルですべての岩盤規制を砕く」と表明し、世界の注目を集め、成長戦略の一丁目一番地とされたにも拘わらず、雲散霧消した。
現状は関係者の力関係、利害関係が一致し、いわば均衡状態にあるとする。この場合、日本国内の内なる力をもってして均衡を崩し、新たな均衡に移るのはなかなか困難だ。パワフルな「抵抗勢力」が介在するからだ。
こうした時には外からのチカラに期待したくなる。
情けない話だが、この際トランプショックを追い風に、自らできなかった規制緩和を進めるのも手だ。
◆コメが高い
コメが高く、ここ何か月もコメを買っていない。
輸入米でもいい。インディカ米でいい。
インディカ米は外地で食べ慣れており、チャーハンにして、たらふく食べたいのだが、なかなか容易に買えず、価格もどうしたこたか安くはない。
そもそも日本の政策当局の判断は生産者、サービス提供者に偏っている。
コメ、然り。
これはなぜか。
ここでは深く論じないが、供給者サイドを守る諸力に比べ、まず消費者を守る官庁が弱い。
米国では財務省、連邦取引委員会、国務省の経済部門、司法省反トラスト局が目を光らせている。
また、昔の話になるが、米国には消費者運動のファイター・弁護士のラルフ・ネーダーという有名な男が活躍した。
◆弱者保護
日本の規制緩和がなぜうまくいかないのか。
規制は「弱者保護」のためにあるとする。
公共料金を取ると、民営化されても、価格の決まり方は競争的なものではない。
携帯料金然り。携帯料金も高い。
行政も是認、政治も是認。両者とも消費者の方を向いていない。
いわゆる規制を担当する官庁(役所)や族議員、業界団体などが一体となった「スクラム」だ。
◆社会通念
もう一つの理由がある。
「競争が悪、協調(談合)が善」という社会通念が邪魔してはいないか。
競い合う、仲間と切磋琢磨し合う、といえば聞こえが良い。
言葉は美しいが、これが合理性や効率性を壊していないか。
実際、競い合えば、お互い膨大なエネルギーが要る。
競い合いの逆は何か。
話し合い、協力・協調だ。
和をもって貴しとなす。
これは楽だ。
先日もホテル業界の価格に関する情報交換があったとされ、公取は業界団体に警告を発したと報じられていた。
供給者が和をもって臨む場合、事業者の商品・サービスの「カルテル」、公共入札の「談合」へ傾くのも自然のように思える。
問題は消費者サイドの便益を誰が守るかだ。
「公取の出番」。これもあるだろう。
もう一つが司法。
これはどうだ。
◆司法
日本の司法制度は行政に遠慮して、その方向に沿った判決や判断が多い。
混乱させない、という理由で、1票の格差に見られるように、違憲状態の総選挙やり直しを命ずることもない。
米国や英国では司法が的確な判断をしてくれるはずという安心感があるため、大きな投資も可能となり、新しいイノベーションを決断することができるともいわれている。
なるほど、法曹界!
ここにもっとスポットライトが当たってほしい。
裁判官も政治家同様、公務員特別職だ。報酬も手厚い。
日本だけではなく、トランプ劇場の本場米国でも、今こそ裁判官に冷静に、長期的な目で判断を下してほしい。
目先の自己保身の裁判官、権力者に対して手加減する司法の徒は勘弁願いたい。
両国の国民はそう思っている。
(学23期kz)

