寄付の文化 その3

◆寄付のかたち

「寄付後進国」の日本ではあるが、様々な取り組みもなされている。

生協を通じてユニセフ基金に寄付される取組みは1984年に始まっている。

また一食当たり20円(途上国の学校給食1回分に相当)が途上国に寄付されるテーブルフォーツー(TFT)。これは2007年から始まった日本発の取り組みだ。

最近では各種寄付行為が社会に浸透してきたようにみえる。

具体的な例を挙げてみよう。

・ふるさと納税

・クラウドファンディング

・遺言による遺贈寄付

・ポイント寄付

などがある。

また、12のジャンルから自分で寄付のポートフォリオが選べるsolidというのも出てきた。

また香典返しを慈善団体などに寄付する取り組みもなされ始めたという。もちろん香典を頂いた方に、故人の意志であることを事前に伝えておく必要はあるが。

「寄付をしよう」と構えなくても、料金を払う際に少額の寄付ができる制度もある。例えば、帰省する際に購入する航空券のインターネット決済の際、「寄付」のチェックボックスがあり、チェックを入れるだけで簡単に100円を寄付できるようになっている。最近ではチェックマークを入れないと、私自身、後味の悪さを覚えるようにさえなった。

◆遺贈寄付

終活の一環でまとまった額を寄付する手もある。

日本の高齢者は金持ちが多い。

統計では金融資産の3分の2が60歳以上の高齢者に帰属していることになっている。日本人の金融資産残高は死ぬ直前がピークになるようで、こうした国民は世界でも稀と言われる。

笑い話をひとつ。

今では故人となった長寿双子姉妹の金さん・銀さん。100歳を超え、お迎えが近い年になった頃でも「老後が心配」と呟いていた。

カネは墓場まで持って行けない。残された家族が相続税を払うようなことになる場合、この遺贈寄付という大技がある。

人生最後の締め括りに、母校や公的研究機関、お世話になった自治体、あるいは活躍して欲しいNPO法人に、遺言で寄付を申し出るのだ。

◆コロナ禍の困窮学生支援

また、今回のコロナ禍では、大学生諸君にもしわ寄せがいった。

困窮学生の救済は行政も行う。行政が行う支援は大がかりであるが、その反面、時間がかかり、しかも支援してほしい先に支援が向かうとは限らない。

これに対して個人的な寄付は、個人の判断で手を差し伸べたい先にピンポイントで支援を申し出ることができる。

◆魅力的な税額控除

最近思うところあって山口大学基金に少額ながら寄付することにした。

寄付を行った場合、確定申告で寄付控除を受けることができるが、母校では、学生へ修学支援する寄付金について「所得控除」ではなく、節税効果の高い「税額控除」が平成28年度以降適用できるようになっているのがありがたかった。

ただし課税所得金額が5000万円を超える富裕者の方はこの恩典に与ることができない。ご留意願いたい。

(学23期kz)