山口大学経済学部同窓会 鳳陽会東京支部
【12月トピックス】
◆これまでの各種経済特区
経済特区にはこれまで構造改革特区、国家戦略特区、子育て特区、高齢者福祉施設特区、エコツーリズム特区などがあった。
業種も先進農業、ドローン、自動運転、ロボット、遠隔医療などが挙げられる。
規制の中身は様々ではあるが、全国一律に公平に運用を目指すように、各省庁が「許認可権限」を持っている。この中には各既存の大手業界の意を受けたものもある。
新規企業、新たな産業がこうした規制にとらわれずに試験的に自由に経済活動を行ってみるのが経済特区だ。
うまくいかないはずがないのだが。
しかし、ことはそううまくいかない。
◆その後の検証
規制緩和や経済特区の検証。これがなかなか伝わってこない。経済特区が華々しく成功したという話は聞かない。
政策が上手くいったかどうか検証してみる必要があるが、検証にかなりの時間がかかるからだ。そもそも、新規事業を始めて成功し、黒字化するまでに数年間はかかる。
このため、政権が打ち出す政策パッケージのひとつとして規制緩和や特区構想を打ち出すのは見栄えは良いが、この間に選挙がやってくる。この選挙が曲者で、規制緩和がどれだけ次の選挙の票につながるかは不透明だ。
特区とはいわば「イノベーション」だ。イノベーションの先行例から見ても確率は低く、ましてや成果の検証に時間がかかるとなれば
選挙の「目玉」として使いにくい。
地域を指定した経済特区を進める場合、看板が往々にして「地域創生」に振り替わることになる。
地方創生ということになれば国からの財政的な支援が見込まれ、占拠の切り札となりう
もう一つ、構造的な問題がある。経済特区とは供給側の緩和を意味し、供給サイドを強めることにつながる。30年デフレの中で、弱い需要が問題となっている時に供給力を強める政策は問題があったのかもしれない。日本経済の課題は需要サイドが弱いことにあるのであり、供給サイドの強化ではない。
供給サイドの強化は、むしろデフレ圧力を強めることになる。
しかし、規制緩和や経済特区は、各種規制でこれまでできなかったことができることになり、日本経済をけん引する新たな産業が生まれることにもつながる可能性を秘めた施策である。
どういったやり方をすればブレイクスルーできるか、大きな課題だが、これをクリアーしなければ日本再生はおぼつかない。
規制緩和や経済特区が、今後の成長の切り札として活用されることを願っている。
(学23期kz)
山口大学経済学部同窓会 鳳陽会東京支部
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