教養課程の授業③ ロシア語

山口大学経済学部同窓会 鳳陽会東京支部

【2022年12月トピックス】

◆ロシア語への興味 

大学に入り、中学・高校と学んできた英語のほかに第二外国語としてドイツ語を選んだ。

就職してからもそれなりにドイツ語が役に立つことになった。

先の大戦の敗戦国となり、メンタリティーも相似通う日本とドイツ。ドイツが戦後どのように汚名の回復に努め、傷ついた国土を、経済、財政、金融の制度でどのような政策運営をし、欧州の大国に復帰できたのかについて学ぶことは日本の政策の舵取りにとって大いに役に立ったからだ。

皆が学ぶ英語や第二外国語のほかに、教養として第三の語学を学びたく、シラバスの中に「ロシア語」の文字を見つけた。ロシア語のアルファベット(キリル文字)には26文字にはない見慣れない文字が多い。こうしたことも、ロシア語を学んでみたいとの誘因が働いた。

当時のソ連邦のロシア語にはレーニンやスターリンなどの思想面の興味ではなく、ドストエフスキーの文学、チャイコフスキーの音楽、化学や物理学などのノーベル賞受賞者で馴染みがあった。インテリ(インテリゲンツィア)の語源はロシア語ということもあった。                

また、何よりもオリンピックの表彰式で奏でられる勇壮華麗なロシア国歌が気に入っていたからだ。

◆渡辺謙先生

小柄な先生であり、他のコマで体育を教えておられていた。このためかロシア語の授業の時には、毎回ジャージ姿であった。色白で、面相は欧米風の顔立ち。メガネは青みがかったレンズを掛けておられ、謎めいた風貌であった。なぜロシア語を教えるようになったのだろう。先生自身ハーフか、いや違う。ハーフならもっと立派な体躯をしているはずだ。場合によっては留学生としてレスリングのメッカであるソ連へ体操留学に行っておられたのかもしれない。

レスリングといえばカレリン選手。13年間無敗、オリンピック3連覇したカレリンがいた。

カレリンに付いていた名前が「霊長類最強の男」、「カレリンを倒すにはゴリラに格闘技を教えるしかない」と呼ばれた。

吉田沙保里選手に付けられた「霊長類最強女子」はここからきているのだろう。

このように旧ソ連は広大な領土内にバルト三国やコーカサスなど伝統的な格闘技が盛んな伝統も持つ地方を抱え、格闘技のルールもレスリングと似通っているため、優秀な選手が育つ土壌がある。ここに学んだのか。

いや、レスリングではなく、体操かもしれない。体操も旧ソ連のお家芸だ。1970年代に日本のライバルとしてオリンピック通算7個の金メダルを獲ったアンドリアノフという選手もいた。礼節を重んじ

る国・日本を愛した貴公子然としたアンドリアノフ。

◆ロシア語学習人口

2020年のロシア教育科学省の発表では、各国の大学などの教育機関でのロシア語学習者は東西冷戦が終結した1990年に7500万人であったが、2018年には3800万人に半減したという。特に旧ソ連以外の国についてみると、2000万人いたが、2018年には100万人にまで激減した。

ロシアのウクライナ侵攻を受けて、日本のロシア語を学ぶ人口はどうなるのだろうか。

侵攻を止めなかった不思議な国・ロシア。だからこそ、そこを理解したくロシア語を学びたいとする学生もいるという。

(学23期kz)

山口大学経済学部同窓会 鳳陽会東京支部

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