山口大学経済学部同窓会 鳳陽会東京支部
【2022年12月トピックス】
1.中四国大会
3回生になった。
幹部交代直後、山口で部最大のイベント、中四国学生大会が行われた。
4回生は試合稽古、就職活動など忙しいので、運営実務は4回生委員長の指示のもと
副委員長の私が中心で行った。
山大歴史上最強の4回生チームは、順調に勝ちを重ね、全国大会出場権を得ていた。
同じコートの愛媛県の選手対広島県の選手の試合で惨事が起こった。
愛媛県の選手は試合巧者で有名な4回生。もみ合い後、仕切り線に分かれた途端、
前のめりに顔から倒れた。普通後ろに倒れるが、前はヤバイ。
一旦試合中止。ドクターの心臓マッサージ。救急車搬送。付き添いの部員から逐次
電話連絡。一旦蘇生したとの連絡でほっとしたのもつかの間、最悪の結果に。
強い選手であったが、就職活動などで大会前、ほとんど稽古していなかったと聞いた。
そのあと、近くの寺で仮通夜、関係者のお世話、宿泊準備など部員全員寝る間もなくてんてこ舞いであった。
急遽駆け付けられたご家族の悲嘆姿は今も忘れられない。
死因は本人のショック体質かもしれないが、真相はおそらく打撃による心臓の内出血であったと思う。
対戦した相手は猛者でなかった。
仏は最終試合の前に数校の選手たちと激しい戦いをしており、
原因は彼ではない。
このような苦難もあったが、この年、山大空手道部は全日本学生第4位の栄冠を勝ち取った。
2.その後の混乱と無茶ぶり
そもそも空手はスポーツではなく、命のやり取りをする必殺の戦闘術だ。
本来試合など成り立たない武術なのである。
当たり所悪ければ最悪の事態招く、ということが身に染みて稽古に励んだ。
今と違い当時の試合は少々当たってもよほどのダメージがなければ反則とはならなかった。グローブもマウスピースもせず、簡単な拳サポーターのみ、怪我だらけ。
まもなく、1名を残し新入生が次々と退部した。
無理もない、あの惨状を目の前にしては。
熱心な医学部の新入生一名のみ残った。
医学部は3年目から宇部の専門へ移るが、そうなれば一年間幹部不在となる。
彼を呼び出し、こう告げた。
「医学部やから1年くらい遅れてもええやろ。部のために留年せーや!」
聞いてくれたか、偶然か、彼は3年まで山口に残り、立派にキャプテンとして空手部を維持してくれた。
卒業後、勤務地秋田県の代表となり、先日の山口国体では試合ドクターで元気な顔を見せてくれた。
酷い話、無茶ばかり言って申し訳ございませんね。
それから十年。
仕事の関係でアラスカにいた頃、あの試合の相手選手の親友という方と巡り会った。
相手はずっとそのことを悔み、つらい人生を送っている、と聞いた。
「死因はあなたの突きでなく、最終試合の前に対戦した他の選手の突きが原因かもしれない。あなたの罪ではありません」と伝言した。
3.寒中水泳
まもなく、本格的な冬。
冬の恒例行事は1週間に及ぶ寒稽古。
まだ暗い中、早朝練習。
最終日は椹野川で寒中水泳、であった。
上半身裸で川につかり、焚火でぜんざい。湯田の仙人湯につかり、コンパでお開き。
川は水温低く、よく行われる海での寒中水泳よりずっと厳しい。
雑に育った我々の中には、氷の張った川で泳ぐつわものもいた。
完
(山口大学経済学部卒業生 N)
注 以上は実在の人物、組織とは関係ありませんーということにしておきます。
不適切な表現もありますが、作者の意図を尊重し、ほぼ原文のまま掲載しております。
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