山口大学経済学部同窓会 鳳陽会東京支部
【2023年1月トピックス】
花を咲かす
「前途洋々」という言葉は、仕事に拘束された生活から解放された者たち、子育て・教育、周りの世話から解放された者たちに向けられるべきエールではないか。そう最近思えてきた。
「洋々」という言い方が大げさ過ぎるということであれば、未来は明るいという意味で、「鳳陽会」から一文字いただき「前途陽々」というのはどうか。
◆前途は「揺々」、「杳々」だった若かりし頃
古くから若者たちに対して使われてきた「前途洋々」。
果たしてそうだったのか。
若い時を振り返ってみても、学生時代を経て社会人になりたての頃まで、確たる信念を持てず、考えは揺れ、人生の行方は杳として知れなかった。
こうしたときに、「前途洋々」という祝辞をいただいても胸に響くものがなかったというのが正直なところだ。
若い時の心情を思い返せば、前途は「揺々」、あるいは「杳々」というのが実態に近かった。
◆自分なりの花
人生は最後まで分からない。
第一線を退いた後でも、人生を閉じるまでに20年~30年、場合によっては40年近く残されている場合が多い。
齢50近くになると仕事や周辺業務の知識や経験はもちろんのこと、社会の仕組みや政治、経済、各種制度対する理解が進んでいる。趣味の分野でも一つや二つ、長年続けてきたものもあるはずだ。
60や70で花を咲かせた遅咲きの著名人がいる。
伊能忠敬だけではない。
今年の大河ドラマの主人公は徳川家康。
家康が関ヶ原の戦いで勝利を収め、江戸時代を築いていくのは、60歳を過ぎてからのことだ。
10代では今川義元、20~30代では武田信玄、40代では織田信長、50代では豊臣秀吉に敵わなかったのだ。
世界に目を転じると、もちろんこちらも遅咲きの巨人が数多くいる。
マハトマ・ガンジー。
若い時には失敗や苦労の連続であったが、英国がインドで握っていた塩の独占に抗議し海辺を行進して自分たちで塩を作って見せた「塩の行進」。世界で注目を集め、インド独立の足掛かりとなったこの「塩の行進」はガンジーが60の時だ。
次にカーネル・サンダース。
世界的なフライドチキンの店舗網を作り上げたカーネル・サンダースも遅咲きの苦労人だ。
数々の職を経て晩年にフライドチキンで成功する。
幹線道路沿いに店舗展開を図っていたが、高速道路ができたために客足が遠のき、果ては全財産を失う。これが、65歳の時だ。
この年になる銀行は金を貸してくれない。70歳を目前にして取り組み始めたフランチャイズ事業の営業を断られた回数は、千回以上だったという。しかし彼はめげなかった。旨いフライドチキンを作るノーハウを持っており、金持ちの友人を巻き込んでフランチャイズチェーンを作り上げ、成功を収める。
◆経験や知識が結びつく人生の後半
年をとると体力も落ち、目も耳も悪くなり、行動範囲が狭まり、人生の終わると思われがちだが本当にそうか。
やり方によっては、別々に眠っていたこれまでの経験や色々な知識が結びついてくる。最近ではインターネットやAIの助けを借りて、またSNSの力を借りて、一人一人がやれることの可能性は加速度的に広がっている。
花を咲かせることができるのは、やってみること、やろうとする気持ちがあること、またその情熱を持ち続けることだ。
遅咲きや大器晩成を遂げる者とは、夢を追いながら情熱を持ち続け、最後まで諦めなかった者かも知れない。
何も著名人になる必要はない。
自分なりの花でよい。
自分好みの花でよい。
前途は・・・陽々だ。
(学23期kz)
山口大学経済学部同窓会 鳳陽会東京支部
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