介護雑感(歯科の女医編)

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2023年6月トピックス】

母の足腰が弱り、検査入院で病院に入院していた頃のことです。
介護施設に入居する1年と少し前のことであった。
母は病院に入院したものの、以前から入れ歯を失くしていて、担当医の勧めもあり、入れ歯を作製することになった。
病院と提携している歯科医院があって、送迎診療サービスもしてくれるという。
車椅子に乗ったまま、リフトが付いていて車に乗せ移動できるのである。
私は運転出来ないので有難い話である。

M歯科医院は病院から送迎車で25分位のところにあった。
到着すると、近代的設備を誇るモダンな建物で、診察台も10台位あり、歯科医師もその位いる歯科医院で、土曜日だというのに患者も多く大繁盛している。
小型の送迎車も7台位あるようで、スタッフも充実していてそれを売りにしているようであった。
担当の女医も、若くて感じが良くて、入れ歯作製に5回位通ってくださいとのことで、健康保険証がなかったが、月末までに持参してくださいとのことであった。
そのため、預かり金として4万円だったと記憶するが預けた。

次の土曜日、2回目の診察日であった。
予定の時間になっても、送迎車が来ない。
歯科医院に問い合わせると、何か行き違いがあり、予定の時間を40分位遅れて送迎車は来た。
その間、母は寒空のもと待つことに。
到着すると、担当の女医は、行き違いがあったようでと詫びた。
健康保険証がないので、診察券が発行出来なくて、車の送迎に手配漏れがあったらしい。
私は仕方がないとあまり気にかけなかった。
ミスは誰にもあるものである。
ただ、受付には次回からは、きちんと送迎をして下さいと念を押して帰った。

次の土曜日、3回目の診察日。
予定の時間前から送迎車を待ったが、定刻になっても来る気配はない。
少し待って連絡を取るとそれから、50分位遅れて送迎車は来た。
私は運転手の人に2回続けての手配漏れ、一体全体どうなっているのかと問いただした。
どうも、診察券が発行されていないことが原因のようだと運転手はいう。
私の怒りに圧倒されたのか、運転手は到着したら医院長から説明させますという話になった。
到着すると医院長は不在ということで、担当の女医から説明というとになった。
診察台に母を連れていって話を聞いた。
その女医曰く、「診察券がないので、送迎車の手配が出来ませんでした。」私、「それは前回そういう説明を聞き済んでいて、次回から手配漏れがないようにお願いした筈です。事実だけいわれても困る。」と。
担当の女医からはお侘びの一言もない。
「手配漏れを診察券が発行出来ないことを理由にされても困る!!それとこれとは違う!!」
私の激怒した大きな声がフロア中に木霊した。
「コンピュータと連動しているというが、コンピュータというシステムが出来ないことを人間が補うのではないのか!! その為に人間がいるのではないのか!!」
一斉に医師や診察台の患者の視線を感じた。
女医は母を診察しようとしたので、私は遮って母に「帰ろう。」と促した。
女医は、「診察を受けられないのですか?!」
私、「そうです。」
女医、「今後、受診される気があるのなら、連絡を下さい。」と言った。

私は、1時間半かけて車椅子を押して帰ろうとしたが、途中、道に迷い、雨も降ってきたので、タクシーを拾って帰った。
私は、病院に帰って母に詫びた。
母は理解したのかどうかわからないが、何も言わなかった。
その後、その医院からは何の連絡もなかった。
預けたお金もそのままで、年度末にどういう経理処理をされたのかわからない。
私は寒空に母を待たせたM歯科医院が許せなかったのである。
人には、損得勘定だけではなく、許せないことがある。
今も、近代的設備を誇るM歯科医院は大繁盛しているのであろう。
私の抵抗など何もなかったかのように。
(学22期 Y・Y)

※コメントを宜しくお願いします。
①トピックス末尾の「コメントを残す」欄から。
あるいは
②私のメールアドレスへ
0rb6672r388367t@ezweb.ne.jp

コメントを残す