「日本人論」の欠片 その6 

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2024年 10月トピックス】  

◆PDCAの実施段階(D)

各種改革の実施段階(D)で、改革段階に比べ改革に移される件数は少なく、実施の程度も本腰が入っていないものが多いように思う。

これには以下の要因があると思われる。

・実施段階で初めて事の深刻さを知る。

具体的には、既得権益が削がれる、所属する部局が消滅する羽目になる、給料が下がる、リストラされる、こうした実害が降りかかってくることを始めて実感する。

こうした反対派のパワーは改革派のパワーを大きく上回るため、実施に移される程度は大きく減じられる。

それでも形式上は改革を改革を行った形にしたいので、猶予期間が設けられたり、お茶を濁したような取り組みで収まったり、実施されなくても目をつぶるようになる。

改革の実施段階では猛烈な反対がある。

なぜ、計画の段階で問題にしなかったのか。

計画段階では真剣に議論しないのだ。

なぜか。

喧嘩をしたくないからだ。

改革を断行すべき最高責任者になることが多い現役社長の対応は歯切れが悪い。

「改革は必要。それは認めるが、私の代ではなく、後の世代がやってくれ」と。

◆最後の最後で緩むならまだしも、最初から緩んでいるのではないか。

「先送り」という言葉があるが、国の成長が続いている時には余裕もあり、有効でもあった時機もあった。

それに比べて欧米諸国、特に我々と同じ大戦で敗戦国でありながら、見事な戦後復興を果たし、日本に似た技術大国、モノづくり大国、貿易大国であるドイツ。

ルールや決まり事には厳しいドイツの国民性。

他人にも厳しいが、己にも厳しい。

真夜中、車も通らず人気もない横断歩道。

そこでも愚直にルールを守るドイツ人。

彼らは決まった「計画」を実行に移すのだ。

しかも愚直に。

計画を愚直に実行に移す。

勝手に手加減しながらではなく、愚直に。

ここが日本人の調整力の高さをしめしている要因でもあり、欠点のように思われる。

(学23期kz)

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