吉野弘さんの詩

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2025年4月 トピックス】

岡山支部 岡山Bさんの投稿

ある番組で紹介されていた吉野弘さんの詩
自戒を深く、深く込めて、結婚が始まる時のみならず40年を数年後に迎える、初老夫婦にもその功徳はありそうです 夫婦間だけでなく、他にも…
頭を垂れて味あうべし(笑) あな畏(かしこ)、あな畏

「祝婚歌」  吉野 弘

二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい

立派すぎないほうがいい
立派すぎることは長持ちしないことだと気付いているほうがいい

完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだとうそぶいているほうがいい

二人のうちどちらかがふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい

互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか あとで疑わしくなるほうがいい

正しいことを言うときは少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは相手を傷つけやすいものだと気付いているほうがいい

立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には色目を使わず
ゆったり ゆたかに 光を浴びているほうがいい

健康で 風に吹かれながら生きていることのなつかしさにふと 胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そしてなぜ胸が熱くなるのか

黙っていても二人にはわかるのであってほしい
          詩集より

(岡山B)

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