トランプ劇場に思う その3 社会実験

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2025年5月 トピックス】

不謹慎な話だが、毎日トランプ大統領関連のニュースを、興味を持って眺めている。

◆トランプ大統領閣下がおやりになっていることを、いわば社会実験としてみると、かなり興味深い観察ができるからだ。

なにせ、誰もやらないし、やれなかった施策を次々とおやりになっており、国際政治・経済史に名を残すような事象が多く観察される。

ルール違反の3選も狙うのか、来年秋の中間選挙を目指し、己の信念に基づき真剣に策を講じておられる。

おふざけではなく、「真剣に」というところがミソだ。

◆モンロー主義に立ち返り、海外には目をお向けにならないかと思いきや、ノーベル平和賞を意識してか、露・ウクライナに、またアラブ・イスラエルに、停戦の仲介役を買って出ておられる。

また、メキシコ湾の「アメリカ湾」家の呼称変更、グリーンランドの購入意欲や、パナマ運河の管理権にも食指を動かしておられ、お隣のカナダにも、あっけらかんに「51番目の州に」とのオファー。

不動産屋さんらしいといえばそれまでだが。

施策の講じ方も、我々の分からない水面下で密かに施策を講じておられるのかと思いきや、そうではなく、インタビューにも手の内をお見せになり、結構真面目にお答えになっている場面が多いように思える(嘘は持ち味だとしても)。

施策が発表になったとき、中国・ロシアなどの大国はどう動くか、欧州はどうか、アジアはどうか、同盟国はどう出るか。

朝令暮改でもよい。朝令暮改をどの程度すれば、相手はどう反応するか、またマーケットはどう反応するか。

現在の施策が天に唾する類のものではあるかもしれないが、結果が出るまではしばらくかかるだろうから、当面はここまま行くのかもしれない。

◆自動車問題

米国も拘っており、日本も拘っている自動車の問題。

日本の生産拠点を大幅に米国にシフトするにしても、生産開始までに3年も4年もかかるらしい。

そうであれば、もうトランプ政権ではなくなっているかもしれない。

日本の自動車メーカーの出方は悩ましい。

◆刑事事件で有罪の判決を受け、34もの罪に問われている被告になっておられる大統領閣下。よくこれだけのことが良くできたものだと思う。

民主主義のリーダー国のアメリカで。

非常時の大統領特権を拡大解釈してのことだろうが。

議会は動かないのか。大統領特権の裁量縮小に向けて。

そうしないと、議会は何をしていると言われかねない。

◆誰のための闘いか

閣下は誰のために戦っておられるのか。

己のため・・・トランプ・ファーストだろう。

その材料にされたのがラストベルト地帯の取り残された労働者、白人の中・低所得層だ。

大統領閣下は彼らのために闘っていると仰せだ。

彼らがもう一度、「製造業」で職を取り戻し、光輝くようにと。

しかし、そうした彼らに光を与えることを目指した施策に対し、その施策の犠牲になっている関係者は世界中にあまりにも多くおり、「取り残された者たち」に比ではない。

米国内でも、行政を担ってきた多くのお役人、知識人、医者、有名校も含む大学の学者・職員、米国の「ソフトパワー」を担ってきたUSAIDの職員、DEIとされる方々・・・

◆現在、米国で頭脳流出、専門家の流出が起きているという。

カナダへ、欧州へと移住する者知識人も出てきた。こうした彼らを迎え入れるイタリアの村も紹介されている。

見切りが早かった者は、新大統領が決まった直後、4年間の世界一周旅行に出たという。

◆身の回りに溢れる外国製品

製造業は今すぐ移転するというわけにはいかず、時間がかかる。

その間、世界各国から流れてきたモノは価格が上がる。

生活費需品の価格が上がることは、エンゲル係数の高い中・低所得層に響く。

また身の回りのものは多くが外国製だ。

車や電化製品以外でも、生活で使う小物・雑貨は外国製だ。

コーヒーもそうだ。衣服もそうだ。

大統領が自慢げにお被りになっている「MAGA」の帽子は「Maid in China」だという。

星条旗も99.5%が中国製となっている。

大統領執務室にある大きな旗もそうかもしれない。

就任100日の演説で振られていた小旗も中国製だろう。

◆ラストベルトのクリスマス

あと半年後に来るクリスマス。

クリスマスの飾りつけ雑貨も昔からほとんどが中国製だった。

ラストベルトの皆さんは、今年のクリスマスをどう過ごすのか。

(各23期kz)

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