私の命拾い 心筋梗塞 ②

山口大学経済学部同窓会 鳳陽会東京支部

【2023年4月トピックス】

◆突然の脂汗

体調そのものは、そう悪くはなかった。しかし、それから間もなく職場で昼食を食べたあと急に気分が悪くなり、脂汗が噴き出した。

これはいかん、尋常じゃない。今から病院に行って徹底的に検査してくると言いおいて病院に向かったが、脂汗が止まらない。

職場の出口までも辿りつけず、職場の出口近くにあった簡易診療所で伏せた。

幸運だったのは、私が倒れたタイミングが絶妙に良かったということだ。

倒れたのが木曜日の午後だったが、診療所には毎週木曜午後のコマだけ、近くの総合病院から循環器の若い医者が来る。ちょうどそのタイミングと重なった。

若い医者は私を手早く診察するや、すぐさま救急車を呼び、病院でオペをする手配を要領よく済ませた。

◆あっけない手術

救急車の中では脂汗が引き、気分も戻った。仰向けのまま現在の状況を携帯メールで家族に知らせる余裕があった。

集中治療室に運ばれ、冷静な状態でオペを受けた。

部分麻酔をかけ、血管に造影剤を入れて不具合が生じた箇所を突き止める。ここをめがけて腕からカテーテルを入れ、ステントを留置した。手術時間は医者の説明、造影剤の注入、検査時間を含め、1時間もなかったのではないか。

腕からカテーテルを入れ、ステントを留置する作業だけなら、5から10分程度だったと記憶する。

これで一命を取り留めることができた。

便利な手術が開発されたものだ。

ひと昔前なら、胸を開き、場合によっては肋骨を折って手術をしたという話も聞いたことがある。

術後の説明では、後20分手当てが遅れれば、危なかったということだ。魚釣りやゴルフで遠出をしていたならと思うと、冷や汗ものだ。

私の場合、心臓の根本に近い箇所が不具合を起こしており、心臓の3分の一が壊死し、蘇生はしないということであった。

リハビリ時の意外な話

退院時、担当医に身体を動かす上でやってはいけない動き、例えば急に坂道を駆け上るなどの激しい運動は避けた方がよいのか聞いたところ、意外な答えが返ってきた。

問題ないと。

一番悪いのは、むしろ運動をしないことだと。

それ以降、スポーツジムに行って自衛隊の訓練もどきのハードなプログラムを週に3度やっている。

ある時、定期健康診断を受けた際、医者に聞いてみたことがある。心臓を鍛えるということなら、サウナで汗を流し、そのあと冷水を浴びるのも大丈夫じゃないかと。

その医者の答えは、止めておけとのことだった。

健康人でも血液がドロドロになり、血栓ができやすく、心臓には良くないと。

(学23期kz)

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私の命拾い 心筋梗塞 ①

山口大学経済学部同窓会 鳳陽会東京支部

【2023年4月トピックス】

◆過信

私は元来身体が丈夫な方だと思っていた。中学、高校は運動系の部活に入っており、体を動かすのが好きで、社会人になっても土日や休日には必ず汗を流す。

食欲も旺盛で、風邪で咳が止まらないときも、また熱が出たときも食欲は落ちない。出かける時、「行ってきます」と言うところを「いただきます」と言い、「ご苦労さま」とねぎらうところを「ごちそうさま」と、よく言い間違える。よほど食い意地が張っているのだろう。朝食の時には今日の昼飯に何を食べるか作戦を練りながら箸を運ぶ。

定期健康診断ではコレステロールや中性脂肪が多少高い程度であり、医者と相談して薬を続けていたものの、健康には自信があった。

◆予兆

還暦を少し過ぎた頃、近くのスポーツジムの会員になり、早朝からサイクリングを始めていた。

ある時から、朝起きた直後からサイクリングに出かけるが、ペダルを踏むと胸の真ん中がつかえたような違和感を覚えるようになった。胸の真ん中を2~3度叩けば、つかえたものが簡単にストンと落ちそうな軽微な違和感でもあった。

サイクリングから戻ると胸のつかえは止む。

仕事には全く支障がなく、仕事が終わった後、同僚とよく酒を飲んでいたが、酒の席で胸の違和感のことを話した先輩からは「恋煩いじゃないか」と冷やかされ、笑い話で終わっていた。

しかし、どうも気になる。症状のキーワードを入れてウェブ検索したところ「虚血性狭心症」と出た。

◆医者の見立て

「朝一番の運動と胸のつかえ」・・・これを話せば、専門家から異変の原因と適切な手当のアドバイスをもらえるに違いないと思い、職場の産業医の所に向かった。一通りの検査のあと医者が出した答えは「50%の確率で逆流性食道炎。そうでなければ肺、あるいは胃の上部の問題」ということであった。

◆セカンドオピニオン

朝いちの運動で出る違和感は取れなかった。産業医は言うことは間違ってはいないと思ったが念のため、セカンドオピニオンを求めて自宅近くの公立病院にかかり、産業医にかかったことは伏せて、検査を受けた。

すると奇妙なことに、その医者も全く同じ診断を下した。「5割の確率で逆流性食道炎・・・。今度症状が出たら内視鏡を飲んでみましょう」。

何か変だ。

食道炎という割には食道から酸っぱいものは上がってこないのだ。

それならそれで、大したことはないと思い、これまで通りの生活を続けたが、朝イチの運動に伴う胸のつかえは取れなかった。

(学23期kz)

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