「日本人論」の欠片 その9 二足のわらじ

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2024年 11月トピックス】

◆評価される専門性

日本では「この道●●十年」の匠が評価される。

それぞれの専門分野に造詣が深い人に敬意を表する。

この点、モノづくりの伝統を持ち、高い専門性を有する人材を評価するドイツのマイスター制度とも相通ずる評価をしてきた。

確かにこれまではそうであったが、最近では違う風が吹いている。

◆副業、あるいは複業

政府では多様なキャリア形成の一つとして副業・兼業を推進している。

本年3月末に人材系民間大手企業が発表したところによると、所属企業で副業が認められているところは26.4%(副業を経験した者は17.9%)、認めていない(副業禁止)企業は41.7%となっている。

◆企業の都合

職業から離れると専門性が薄れるという懸念があるが、逆に、現在従事している職業から離れた方が、見方が広がり、奥行きのある仕事ができるようになり、企業として次の段階の発展にも資するという場合もある。

最近では出世レースの本流に乗るには自分の会社以外の場所で経験を積んだ人材を抜擢する傾向が増えている。

仕事先も学者・公務員・民間企業と勤務先を変えることのできる人材登用の仕方が、各方面で目利きができる人材を作ることができるとの調査結果がある。

◆個人の都合

個人の面からすると、終身雇用制度が崩れてきており、この先、国にしても企業にしても国民や社員の面倒を見ることが難しくなっている。

場合によっては所属する企業そのものが消滅することもありうる。

こうしたことから、これまでは常識であった「この会社に骨を埋め」、「一生安泰」なサラリーマン生活を全うすることは過去の世界になりつつある。

また、最近では、職種によっては、AI導入による解雇の不安も生じるところも出てくるだろう。

これからは「これまで辿ってきた、この途一筋」ではなく、別の道を開拓する意味でも早くから副業をして勘所を養っておくことも必要になっているのではないか。

つづく

(学23期kz)

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