山口大学経済学部同窓会
鳳陽会東京支部
【2026年8月 トピックス】
岡山支部 岡山Bさんからの投稿
◆カローラの販売を開始しようとした1965年(昭和40年)は”明日は豊かになる”とみんなが信じることが出来たという時代。
2025年は、現在はどうだろうか?
社会の中心を構成する、その中間層基盤が急速に薄くなっている時代ではないのか?
ハイブリッド、プラグインハイブリッド、BEVなど、またガソリン車の開発というとトヨタの”マルチパスウェイ戦略”も追求しながら、開発工期の大幅な期間短縮も目指す。
従来の 日本の車両のモデルチェンジは6年周期。しかしいま、中国のそれは2年という期間での見直しがなされている。
先に述べたよう、時間軸がすでに異次元にある。
こんな環境下で共有しているミッションは、エネルギーのマルチパス、時間軸の半減でなく1/3かと一兎を追うだけでも大変な命題の二兎。
そして追いかける個々の兎も高い目標設定で困難を極める。
現場での声は「会議に参加している皆さんと一緒に開発に当たり、生産現場も皆で頑張っている。しかし、現実は、実情は、顔面蒼白の状態。
時間が、工数が、仕入れ先を含めたサプライヤーが・・・全てが足りない。こんな無理を要求され続けても・・・」と言った。それが現場の悲鳴の声・・・
会議の中では強い発言力をもって、その言葉が展開される。
多くの組織の中で、ありがちな企画部門の”本部の意見”が最優先される場合が多くある。
(ともすれば企画本部の考えた大方針が最優先され、後の部門はそれに如何にアジャストするかが多くの企業でなされていることではないか?自分自身の拙い経験で見聞きした場合でも、そういったケースはなかったか?自戒の意味をも含めて敢えて記しておきたい)
◆トヨタにおいては、 製品企画、設計、技術、生産技術、製造(技術) のそれぞれの部門が対等な関係で、議論がなされる会議の場が設定されているようだ。
製品企画は各部門の意見を出させ、最終統合して、一致点を見出そうとする。しかし、それぞれの部門で生生に近い段階での会議取材、(トヨタ自身も日本のものづくりの危機として共有して欲しい意図あるかも知れない)その発言の数々。
そして、”製造技術”(生産現場)は、開発部門の製造に当たっての外部に指示を出す設計図面の受け取りを今の段階では受け取れないと明言する。
「しょうがない、しょうがない、しょうがないを“しょうがないまま進めてしまう” とどうしようもなくなる」「しょうがない、を少しでも解決して、次のことを進めていけなくては!」とも語る。 現場の声が生産に向けて合議を必要とし、最後の決定権を持っている姿がある。
取材をしている記者が “製造技術”(生産現場) の責任者に素朴な疑問として次のような質問をぶつける。
「現場において、ものつくりで一番大切にしていることは何ですか? 」と「うぅ~ん・・・」と悩み、深い想いをもって語ったのは次の言葉だ。
「 現場において、ものつくりで一番大切にしていることは”人”なんですよ。 最後は、人が助けてくれるんですよ 」と。
ここで、 「良い品 良い考」 の看板の言葉にトヨタ生産方式の生み出した大野耐一さんも大きくうなずいているであろう。人による「KAIZEN」(改善)が生きてくる。しかし、この番組の中では、ここに安穏として留まっているだけではいけないトヨタ、ものつくり日本があるとの指摘だ。
◆豊田章夫会長は”クルマ屋の拘り”を二つの会話の中で語る。
・「車は+50℃からー50℃までの厳しい環境下で、そして振動が常にある中で動いている。そして、そこには乗車している人がいて、その”命”、安全と言う大命題がある。デジタル機器の様に調子が悪いからリセットして再起動とはいかないんですよ。そこには「命が乗っているんですよ」」
・豊田章夫会長はトヨタ自動車の経営のトップであるだけでなく、「モリゾー」と言うテストドライバーの顔を持つ。試作車の最終的テストドライバーとして、その味を見極める。記者が「最終的にこれだと思う乗り味は何なのですか?」と聞くとすかさず、「貴方が映像を取るでしょう?それもなんカットもなんカットもいろんな映像をとるでしょう、そして、編集して、最後に放映できるのはこれだ!っという映像に仕上げる。そんなことやっていませんか?」
「はい!」
「それなんです、それ!最終的な乗り心地、乗り味のこれだ!と言うのは、それと同じなんですよ!なんか感覚的と言うか・・・」と、カメラの前で語る。
番組の中では、豊田章男会長を始めとし、各段階で使われるコンセプト『クルマ屋』という矜持がそこにある。
◆今回の番組を文書に起こすのは大変難しい問題のままである。十分起こしたとは言えないがその底流に流れているものの一部を書き出してみた。
問題提起、問題意識満載の特集番組。そして、その中でなにかとその素材を、取組みたい課題を抽出することも出来る番組。
もう一度、再視聴!「読書百遍 意 自ずから通ず」。
