山口大学経済学部同窓会
鳳陽会東京支部
【2025年6月 トピックス】
1970年代、私は山口大学経済学部に入学した。蛮カラの気風が色濃く残る鳳陽寮・北寮で2年間、暮らした後、3年生になって山口県庁近くの下宿に引っ越した。
◇下宿の朝
県庁に近い清閑な住宅地。
白壁。門。庭のある屋敷が並ぶ。
わが下宿はその一角にある。大家さんの家にも塀とりっぱな門、そして庭があった。
下宿には、「ストーム」がない。鳳陽寮では伝統の「ストーム」(深夜、寮生が部屋に押しかけてくる)がほぼ毎晩、襲来してきたが、もう悩まされることはない。ぐっすり、安眠できるぞ。朝寝坊しよう・・・。のはずだった。
ところが、眠っていると、下宿の前の道路から大きな掛け声が響いてくるではないか。
目が覚める。なにごとだろうか。
「イチ」―。「ニ」―。「サン」―。「シ」。(指揮官)
「イチ、ニ、サン、シ」。「ニイ、ニイ、サン、シ」(隊員)
集団で早朝ランニングをやっているようだ。
ベッドの中で考える。
ははあ・・・。
近くに山口県警本部がある。
おそらく若い警察官たちが訓練の一環として走っているのだろう。
その日以来、この早朝ランニングの掛け声が私の目覚まし時計代りとなった。
◇優雅な朝食
洗顔して朝食の準備にとりかかる。
ポットでお湯を沸かす。インスタントコーヒーを淹れる。
冷蔵庫から牛乳を取り出し、ミルクコーヒーに仕立てる。
食パンに厚切りのソーセージを挟む。キャベツをちぎる。
コップと皿をベランダのテーブルに並べる。
四季折々の花が咲く庭を見ながら、優雅な朝食をとる。
※下宿の庭は、大家さんの家族が毎日のように手入れしています。
とてもきれいです。イタチが棲みついていました。イタチは警戒心の強い野生動物です。めったに人前に現れませんが、朝食のさい、ときどき、見かけました。
朝食を食べ終わる。コーヒーを飲みながら、朝刊を読む。
1面から社会面までじっくり読み込む。これが後日、おおいに役立つことになろうとは当時は、思いもよらなかった。
◇アルバイトと活動の日々
さて、出かけるとするか。
大学に通学するのが学生の本分だが、私は大学の講義にはいっさい出席しなかった。ただし、ゼミ(小嶋ゼミ=現代中国経済)だけは毎回、出席した。
朝からアルバイトだ。老舗和菓子店の配達(山口県内全域を車で配送する)や報道機関の手伝い、危険なトンネル工事、夜のお仕事など様々なバイトをやった。
活動も忙しい。自治会系、体育会系、文化会系、大学祭系、音楽系など様々な活動を行った。よく時間をやりくりしたものだ。
バイトと活動については改めて記す。
鳳陽寮には大きな浴場があったが、下宿に風呂はない。
一日の活動が終わると、自転車に乗って一の坂川近くの銭湯に通った。
汗を流してさっぱりする。さあ、下宿に帰るか。
自転車で清流沿いを走る。
夜風が気持ちいい。
【続く】
(鳳陽会東京支部 S)
