山口大学経済学部同窓会
鳳陽会東京支部
【2025年6月 トピックス】
◆比較優位
鈴木先生から習ったのは貿易論。国際分業の話だ。
どのように貿易した方が利益を得ることができるか。
比較優位とはAB2国、2財モデルで貿易を行う場合、両国は自国の「相対的に」優位な財の生産に特化した方が、交易量が多くなり、お互い経済厚生は大きくなるとする。
D.リカードが発見した大原理だ。
この比較優位説は経済学における大きな発見とされる。
◆サムエルソン
サムエルソンは教科書「経済学」の中で、比較優位を説く上で、この町一番の弁護士と、この町一番のタイピスト(秘書)がいる弁護士事務所というわかりやすい事例で説明している。
ここでは、タイピストの秘書より、弁護士の方がタイプを打つ速度が速いとしても、弁護士はタイプを打たずに弁護士業務をすべきとなる。
逆説的に言えば、秘書の方が弁護士の比べ、タイプに比較優位があることになる。機会費用が少ないからだ。
弁護士が同じ時間にタイプを打てば、そもそも稼げる大きな金額が逃げていく。
機会費用の問題だ。
サムエルソンは比較優位の原理について「経済学で最も美しい理論」とした。
◆タリフマン・T大統領と鈴木先生
トランプ氏が大統領になった1期目の時。
全国から集まった同期ゼミ生が鈴木重靖先生を囲んで会食会を開催した。
7~8年前の話。会場は維新志士ゆかりの宿・山口松田屋。
この時も貿易赤字を解消したいT大統領は関税をいじっていた。
そもそも、貿易の赤字と黒字。
マルチで考えるべきところをバイで考える、いただけない思考をベースに、関税を強権的にいじくるという、いただけないハイポリティクス。
T大統領もペンシルベニア大・ウォートンスクールで経済学を学んだ経済学士だ。
鈴木先生に、T大統領に「自由貿易の下で、比較優位に基づく貿易を行う方が、最も経済的に厚生を高めることができる」という大原則をレクチャーし、諭してはいかがかと問うてみた。
半分冗談交じりに。
すると鈴木先生は困り顔をされたのが思い出される。
(学23期・kz)
