「夢売り」 金子みすゞ

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2024年 1月トピックス】

金子みすゞは明治43年(1903年)に大津郡仙崎村(現長門市)に生まれる。

20歳のころを境に次々と作品を発表し、一気に人気を集め、何と齢23の時に「童謡詩人会」への入会を認められている。

この詩人会、メンバーの顔触れがすごい。

一流どころばかりだ。

男性会員には西城八十、泉鏡花、北原白秋、島崎藤村、野口雨情、若山牧水など。女性は与謝野晶子(当時48歳)と若い金子みすゞの二人だけだったという。

特に西城八十は金子の才能に惚れ込んでいたようだ。

しかし、金子は私生活では恵まれず、23歳で結婚し娘を授かるが、厄介者の夫に手を焼き4年で離婚。子の親権を巡り夫と拗れ、可哀そうなことに26歳で服毒、夭折している。

彼女の代表作、「私と小鳥と鈴と・・・みんなちがってみんないい」は小学校の国語の教科書に採用されることが多い。

また「積もった雪」はかつて東大の国語入試で使われたようだ。

上の雪

さむかろな

つめたい月がさしていて

下の雪

おもかろうな

何百人ものせていて

中の雪

さみしかろうな

空も地面もみえないで

◆夢売り

年が明けたので心温まる金子みすゞの詩をもうひとつ。

「夢売り」

年のはじめに

夢売りは

よい初夢を

売りにくる

たからの船に

山のよう

よい初夢を

積んでくる

そしてやさしい

夢売りは

夢の買えない

うら町の

さびしい子等の

ところへも

だまって夢を

おいてゆく

(学23期kz)

金子みすゞ

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