サラリーマンとネクタイ(ピン)・・・

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2025年7月 トピックス】

岡山支部 岡山Bさんからの投稿

“『いちご白書』をもう一度”の歌詞の中に…いつか君と行った映画がまた来る…それに続く歌詞…

男子学生において、学生時代に別れを告げる儀式として、”無精髭と長い髪”とのサヨナラが、嘗てはあった。
一方、その昔、社会人として組織に属すると言う事は、その組織に対して、ある意味”忠誠”を誓う儀式が伴なっていたであろう。

“白いカッターとネクタイ”もその一つになるかも知れない。
ネクタイには、柄、幅、ノッチ(結び目)に流行り廃りがあり、流行もある。
これらの中でも、そのネクタイの”幅の太さ”に組織への忠誠度が表れるとも言われた時代もあった。(時代によっては、もう少し広げると幼児の涎掛け?(笑)のような幅広が流行った事もある)

背広の内のネクタイをどう扱うかも、各自それぞれの流儀がある。
一昔前であれば、ネクタイピンはネクタイには”must”だったかも知れない。
人の動きに伴ってネクタイの端が暴れる、乱れるのはどうか?と言う考えだ。 要は行儀よくか…。
反対に今、ネクタイピンをしている人がどれだけいるだろうか?。

寧ろ、人の動きに伴ってネクタイの端は動く方が自然だ。
両者のハーフと言えるのが、ネクタイの端をカッターシャツ前面のボタン間に挟み込むと言うやつかも知れない。
自分の中で白カッターシャツは色カッター(柄物もあり)に、ネクタイのタイピンはタイピン無しに、時を置かず変わった。

一方、工場勤務勤めになると勤務先では、ナッパ服になるから、出張や会議以外はそれらは不要だ。
時代は流れる。

蛇足)自分の中のネクタイピンの履歴書を写真で掲載しよう。

就活が始まる頃、ゼミの仲間からネクタイの結び方、タイピンの使用方法を学んだ。
写真は就職活動で使用していたものから博多在勤時代のもの、シルバー×2そして、真ん中に旧松本高校寮歌入り(旧制学校記念館にて販売)
それぞれのネクタイピンに、組織人としての歴史がある。

岡山B

毛利家の先祖と末裔 ③

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2025年7月 トピックス】

◆元徳公の末裔(その3)

さらに下ると・・・

最後の藩主となった毛内元徳公の長男・元昭氏(第69代、1865~1938年)は貴族院議員となった。

その元昭氏の長男、すなわち元徳公の孫・元道氏(第70代、1903~1976年)は陸軍士官学校を経て、やはり貴族院議員になっている。

時代はさらに下り・・・

元道氏の長男・元敬(もとあき)氏(1930年生まれ、元徳公の曾孫)は「サラリーマン第一号」と呼ばれ、長期信用銀行に入行し、経済企画庁にも勤務している。

元敬氏の長男・元栄(もとひで)氏(1967年生まれ)は日立金属に入っている。おもしろいことに、元道氏の4男元敦氏も日立金属に入った。

日立といえば鳳陽会の幹部を出している名門どころだ。

◆二人の大立て者

日立グループには鳳陽会が大変お世話になっている。

辿っていけば・・・「鉱山王」と呼ばれ、日立の社祖となった久原房之助氏、久原氏の義理の兄で、久原氏から事業を継承した「重工業王」とも呼ばれ、昭和の前期に「日産コンツェルン」の総帥、日産自動車を創業した鮎川義介氏、このご両人に行き当たる。

ともに山口の人物だ。

(学23期kz)

健康診断における大人の段階

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2025年7月 トピックス】

岡山支部 岡山Bさんからの投稿

学生時代は保険健康センターだったと思うが、毎年健康診断を受けていた記憶がある。

また、学生健康保険のようなものがあってか、歯医者で治療しても、後から治療費の還付等があった。

卒業前には”全くの健康体!”で湯田温泉の駅から東京へ出発していったように記憶している。(就職にあたっての健康診断は済生会山口総合病院で受けた)

社会人になると職場に検診車が来る。35歳を境に人間ドックと言った検診を健診機関で受けるようになった。

◆健康診断における大人の階段 4つ

①先ず人間ドックで大人の階段を一段上ったなと感じたのは、胃のレントゲン撮影。

あの白い重い液体”バリューム”!口から流し込み、映像を鮮明に映す為、発泡剤

も併せ飲む。ゲップに堪え、レントゲン技師の指示による検診台の上で、自らの動き、結果としては、まるで回転ベッドにいるように動くことだ。

先ず三回転、一方向に回ることぐらいは出来る。その内、右だ左だ、仰向けだうつ伏せだ…段々頭の中は混乱して、右はどっち?左はどっち?仰向けって?うつ伏せって?となる。その頃になると押し殺していたゲップは意識しなくとも小さなものが発生、又、漏れたりする。そうすると、レントゲン技師の「追いバリューム」の指示が来る。口の周りは、既に初回のバリュームで白くなり、若干固まり始めていたりする。そこにさらに「追いバリューム」だ。やはり大人の階段は、たかが一杯、されど重く、甘美な甘さがある。(30年の年月の中で、今は大層飲みやすい液体になっている)

結論!このレントゲン技師の指示に対応しながら、胃のレントゲン撮影が出来る限り、ある意味”健康体ですよ!”と自ら宣言したくなるくらいハードなものだ。

②そんな経験を重ねていくと、「慢性胃炎ですね、また少し胃に影がある」、病院での精密検査を進められる「要検査」の指摘が来る。

当時は子供も小さかったし、まだまだ間違っても健康を害してはいけないと用心の方が先立ち、素直に胃カメラ検診を受診する運びとなる。

胃カメラが上手との誉れ高い病院に行くと、先生は胃カメラの心得を先ず説いてくれる。

そのこころは「これからも何度も胃カメラを受ける機会はあるでしょう。そうした時、最初の胃カメラでひどく違和感を持ってしまうと次の胃カメラが飲めなくなります。

出来れば、注射による全身麻酔で楽に胃カメラを受けられませんか?」もう、俎板の鯉、極端な話、先生が南極に行けと言われれば、南極へ、北極に行けと言われれば、北極にの状態((笑))「お任せします」 

しかし、今の医療では、インフォームドコンセントで同意書に署名を求められる。ここでサインにすることに躊躇はない。

麻酔が効き始めながら、胃カメラの細い管の異物が少し口のなかを入っていく、

そしてその映像を確認しながら、食道の入口に到着する前から、きっと虫の息でなく、深い眠りに誘われ、落ち込んでしまい、記憶は飛んでいく。

『光る壁』など小説で読んでいた技術的なことより、現実の自分のことになると、その眠りの深さの方が驚きだ。

胃カメラの撮影がすべて終わって、看護師さんから声をかけてもらっても、何かうわの空・・・眠りから覚めていない。「もう少し、休んでいったらいいですよ」の先生の声すら眠り唄になる状態。それから小一時間は熟睡。

きっと病院側からすると、睡眠ベッド、延長料金戴きます!の状態であったのだろう。

③従来成人病と言っていたのを”生活習慣病”と名付けた聖路加病院の日野原先生は偉い。

つまり、ある不健康な生活を継続していると、習慣となり不健康な状態が累積されていく。そして、その末路は”生活習慣病”に繋がる。

CTへの検査へとなるのもそんなに時間を要さない。つまり、影にもなお怪しいものが写ってしまうことがある。そうなると人間の体の映像を輪切りにして、その映像を立体的に再生して、その映像から病状を細かく見ることになる。

この辺までくると”立派な大人の健康診断”だ。肺にも影・・・闇は深まっていく。

三人に一人が癌と言っていたのが、二人に一人が癌の時代。影があると言われると自覚症状が全くなくとも医者の進言は金言になる。

姿勢としては「先生、お願いします」に変わっている。

④頭部の検診

①~③がある意味強制された健康診断だとすると④の段階のMRIによる頭部の検診(脳ドック)は自ら希望して検査をするようになる。

2022年の推計で65歳以上の認知症の発症率は12%、軽度の認知症障害は16%と言い、認知症にかかわる症状が、両者併せて、大きく丸めるとまた三人に一人となる。

加齢に伴う物忘れなのか?認知症による物忘れなのか?この二つの区分の厄介なのは、物忘れの自覚があることと物忘れの自覚があること自体忘れているかによる区分だという。ちょっとした禅問答になっていないか?

何れにせよ、心配なら自ら検診を受けなさいと督促されているようにすら感じられる。

加齢自身は決して憂うべきことでない。”一つ年が大きくなったら、一つだけ賢く成ればいい”と昔勤務していた工場長の名言、ある意味これを支えに加齢受け入れてきたと言ってもいいくらいの応援の言葉であった。

しかし、加齢は自分に否応なしに”物忘れ”を連れてくる。

レ・ミゼラブル!(あゝ無情!)

先日MRIで撮影された映像に基づく医師の判断は「年齢の割には脳の萎縮はありませんね。また、脳の血管の方も今のところ問題はありません」一安心、一安心。

さらに先生はリップサービスも含めてか、「僕の脳の映像なんかより、まだ状態はいいですよ」とも・・・(笑)

願わくば、先生の映像も是非比較し、味わいながら、検証したい!(笑)

「年齢相応…、何でも長年使っていたら、少しは調子が悪くなるところはあるでしょう。だからしんぱいごむよう(「心配ご無用」)」とくる。先生、本当に大丈夫ですか?と詰問すらしたくなるくらいだ。

①~③までの階段はまだまだ明るく筆が進む。しかし、④の階段になるとその筆の運びは少し重くなる。

これまで偶々ではあるが、検査以外では診療台に登ったことがない。

これは先ずは健康で丈夫な体に生んでくれた両親に感謝、そして、人生の2/3を共に生活し、日々の食を通して健康管理をしてくれているカミさんには感謝しかない。

若い頃の暴飲、暴食も影響し、職場で健康診断を始めて頃に比べ、体重は20㎏あまり増量した。されど、大きな病気はしていない。

勿論、自分自身は病気の兆候を怖がらない。大人の階段を上る中で、もし病気になりかけていても、未病の状態でも積極的に検査を受ける。それぞれに必要な処置をすると好転することを知っている自分がいる。

(岡山B)

随筆 横目で眺めた経済学 ⑪ケインズ理論

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2025年7月 トピックス】

◆ケインズ理論の紹介

日本で初めてケインズの一般理論を全訳し、紹介したのは誰なのか。

著名な大御所の経済学者ではない。

大蔵省内の部局、理財局の旧調査課だった。

ケインズの一般理論は1932年刊行されたが、昭和17(1942年)に理財局調査部が一般理論の全訳を本邦初で行っている。

深刻な不況が生じた場合、経済を活性化させて失業者をなくすには、政府主導で財政出動することが必要であるとの理論付けを行ったのだ。

これはアダムスミスの予定調和・・・「神の見えざる手で市場がうまく解決する」という世界観を乗り越えたことを意味する。

施策を講じる当事者が、己のやっていることが間違ってはおらず、正しいと主張したいし、そう信じたい。そのための根拠を経済理論に求めたのだろう。

◆ハーヴェイロードの原則

恐慌や失業が生じた時の財政出動、すなわち「需要を起こせ」というケインズ理論を実践するには「ハーヴェイロードの前提」が重要だとされる。

ハーヴェイロードとは何ぞや。

それはケインズの生まれた町の名で、この意味するところはケインズ政策を実行するにあたり政府部門は賢者によって政策運営がされなければならないとされる。

具体的には不況時に政府が歳出増や減税で有効需要を創り出し、景気を戻すとしよう。

逆に、景気が回復したら自然増収でも足りない場合は歳出削減や増税で財政を均衡させるべしということを意味する。

なるほど、理屈だ。

理想でもある。

しかし、それはなかなか厳しい。それが現実だ。

◆そうは問屋が・・・

ここで問題なのは政府部門が一枚岩ではない、というのも問題だ。

政府部門とは公務員のことだが、公務員には省庁の事務官、いわゆる「役人」もいれば、政治家もいる。

政治家も公務員。「特別公務員」という公務員であり、中央官庁の中の役回りでは、大臣、副大臣、政務官として、事務官の上に立つ役職で、一般職員である事務官の「上司」にあたる。

また政治家と行政官(役人)、三権の中にあって、この両者は行動原理が異なる。

選挙で選ばれた特別公務員たる政治家は官庁で、大臣という名の最高権力者となる。

立法と行政。

三権分立の二つの柱。

体よく言えば「チェック&バランス」が望ましいが、官庁の役人にとって大臣とは、見上げるべき存在で、既述した通り、役人の上司に当たる。

官庁の中では最終的に権限持つのは大臣で、役人はその指示に従って、専門知識を駆使して黒子となって動くことになる。

◆人物紹介

ハーヴェイロードの原則をよく口にされていたのが長富祐一郎氏(1934年~2013年)。

財政経済研究機関Zの事実上の創設者だ。

(交通事故による結構きついハスキーボイスで、難聴気味の私はご発言内容を聞き取るのに相当苦労した)

人脈が豊富で、若手有望株の研究者の発掘にかけては大変眼が利いた方だ。

有望な若手の経済・財政金融学者を集めたシンクタンクZを創設し、経済・財政に関する精力的な調査研究を行った。

外国の研究者とも交流を深め、ここには若いころローレンス・サマーズ元ハーバード大学長(28歳でハーバード大教授に就任)も在籍した。

(学23期kz)

ローレンス・サマーズ 元ハーバード大学長

ゴルフ 何でそうなるの! ⑬歴代米大統領

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2025年7月 トピックス】

◆米国歴代大統領のゴルフ

トランプ大統領はゴルフが大好き。USGAのハンディは2前後のようだ。世界中にトランプの名を冠したゴルフコースを持っている。もちろん地元フロリダにも。

彼のベストスコアは64だという。

歴代大統領の中で最もうまいと評判だ。

64というのはすごい。トッププロ並みじゃないか。

◆しかし、64というのは「自主申告」でのスコアかもしれない。

キャディーさんからは「ペレ」と呼ばれているそうだ。

トランプ氏自身のコースでの話だが、フェアウェイを外した時はボールを蹴ってフェアウェイに戻すからだ。

◆またオバマ元大統領もゴルフ好きだ。来日した折も当時の安倍首相とラウンドした。

ハンディは20を切る程度で安倍首相もハンディは20手前。いい勝負だったのだろう。

体育会系ではなく文科系かと思いきや、7年で250ラウンド、あるいは8年で333ラウンドをこなしたという話で、レフティーのゴルファーだ。

また、バイデン前大統領も何とハンディは10程度だという。「特にアイアンが上手く、大きく外さない。トラブルが少ないゴルフ」とされる。

◆かつてウッドロー・ウィルソンは8年間で1200ラウンド回った。すなわち週に3度ラウンドした計算になる。

スポーツマンマンでヨットが好きだったJ・Fケネディーもゴルフが好きだったようだ。

選挙でのライバル・ニクソンを「ゴルフばかりして・・・」とクレームを付けたはよいが、本人もそのすぐ後にお忍びでラウンドしに出掛けたという話もある。

2009年版のゴルフダイジェスト誌はゴルフ好きの歴代米大統領ランキングをつけているが、1位はアイゼンハワーを抑えて、ケネディーが1位に輝いている。

この時3位はG・Rフォード、4位がウィルソンという順番になっている。

(学23期kz)

オバマ元大統領のアプローチショット

取り残される日本

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2025年7月 トピックス】

◆6月とは思えない猛暑の中、久しぶりのシンガポール出張である。

前回は2018年、当時勤めていた会社がF1のスポンサーをやっていたので、シンガポールGPにお客様を招待、そのアテンドであったと記憶している。

この間コロナがあり、ウクライナ紛争やトランブ2期目がスタートするなど、世の中は大きく変わってしまった。今回の出張はその変化を感じる出来事が多かった。

◆最近海外に行く時はアプリ決済の進歩でキャッシュレスでの支払いが可能なため、現地通貨の両替は最小限で事が足りる(便利な世の中になった)。

今回は2泊3日の弾丸出張なので、現地通貨の両替は50シンガポールドルで十分だなと思って成田空港の両替所へ立ち寄った。

かれこれ30回くらいはシンガポールに出張しているので、1シンガポールドル=¥80くらいだろうという思い込みもあり、日本円で5000円出せば、お釣りが来ると勝手に想像していた。

「お待たせしました。50シンガポールドル、日本円で6,000円です」 

えー!

1シンガポールドル=120円?

嘘でしょうと思って為替のボードを見ると、確かに120円になっていた。

◆深夜に到着すると、相変わらず赤道直下特有の蒸し暑さはあるが、日本の方が不快指数は高いなあと思いながらホテルへ。移動手段はGrab(Uberのアジア版)である。日本では既存のタクシー事業者を守るため、いまだに私用車を利用した配車アプリは認められていないが、シンガポールでは移動手段に既存のタクシー会社と私用車使用のGrabが両方機能している。

ホテルにチェックインする頃には喉がカラカラ。

部屋に入ってみると、ミネラルウォーターが置かれていない。フロントにクレームすると

「ベットボトルのミネラルウォターを廃止して、洗面所の水を飲料として利用できように改善した」との返事。

コンビニに行っても、ベットボトルに入った水はほんの少量売られてはいたが、その代わり水筒を買って再利用(リフィル)しましょうと勧められた。

オフィスや空港、街の中にもたくさんの給水所があり、サスティナブルの徹底を感じた。

◆会食の席で、フランス人やシンガポール人の同僚に「日本の米騒動を知ってるか?」と聞いてみても、誰も知らず、経緯や価格の推移を説明すると「値上がり前の¥500/KGでも高すぎるよ。ましてそれが、1年で倍? 欧州でもアジアでも主食が高騰したら暴動が起きるよ」

とのコメントであった。

◆わずか48時間の滞在ではあったが、今回ほど日本社会がグローバルの動きから、いろんな面で取り残され、国力が落ちている事を痛感した。現地のカフェの店員の時給は2500円、この円安が続けば、少子化で減り続ける労働人口の切り札として期待される外国人労働者も日本で働く事を選ばなくなるであろう。

帰国してみると日本のトップニュースは、NHKも含めて、どこぞの市長の学歴詐称。

まあこれが日本の良い(呑気な)ところなのかも知れない。

大学37期 上野啓

トランプ劇場 その⑦交渉は正攻法で

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2025年7月 トピックス】

◆トランプ劇場

同盟国を含めた一斉関税引上げ、米国民の分断をもたらす大幅減税断行、金融政策への介入(FRB議長の進退)、大学への財政支援凍結、また国際的にはエルサレムへのイスラエル大使館移転、地球温暖化など国際的な協定からの離脱。

このほか、世界の警察官をやめモンロー主義に向かうのかと思いきや、イスラエルへの積極加担、ロシア・ウクライナ問題への介入にイラク空爆と縦横無尽な策を繰り出すトランプ大統領。

当人は気分が良いに違いない。

誰も咎める者がいないのだから。

◆いきなりパンチ

関税引き上げの例。

3桁の国を相手に関税上げを敢行した。

外交儀礼などには一切顧みることなく。

クラスメイトをいきなり殴るようなものだ。

殴った後、出方によっては交渉に応じるという非常識なスタイルだ。

非礼極まりない。

ブラフをかませた後は引いてみる。

「TACO」と言われているが、チキンアウトではない。

単なるディールに過ぎない。

最初は敢えてディールで高めのボールを投げておき、相手が了承すれば「Done!」。

そうでなければ、後にゆっくりと調整する。

朝令暮改とも揶揄されるが、この柔軟性たるやチーム・トランプの真骨頂だろう。

もともと、高めのボールを投げているのだ。

この過程はディールそのものと言っても良い。

◆交渉相手国は・・・

交渉相手の交渉スタンスはどうか。

特に我が国の交渉スタンスはどうか。

機敏に対応しているか。

相手国の主張を黙らせるような切り返しをしているか。

相手に響くような交渉のタマを用意しているか。

「●●だけは絶対に飲めない」という国内票を意識した、頑なな交渉態度でよいのか。

そもそも我が国は、政府の特別チームとして米国と交渉を行う体を成しているか。

参院選前だから動けないのか・・・

・・・このように疑問点はあまたあるが、これらについて私見を述べるのは差し控える。

◆初めての交渉マターに非ず

日米貿易赤字、特に自動車の問題については、何十年も前から交渉してきており、ノウハウも相当蓄積しているはずだ。

また、今、米国から持ち掛けられたのは、関税マターだけではなく、安全保障も含むより包括的なものだろうが、これについても日米間の安全保障、防衛問題について今回初めて議論される問題ではない。

最近では安全保障関係が流動的になっており、これを機会に再検討すべき事態になっている。

中国の東シナ海、台湾付近での軍事拡大が目立つ。

北ではロシアがおり、北朝鮮もいる。また、両者は軍事協力しているというではないか。

隙あらば数ミリづつでも迫ってくる。

こうした中での我が国の安全保障問題も考える必要がある。

日米安保で、トランプ大統領は「片務的」としているが、基地提供もしており、10年前には安保関連法成立で「片務性」の問題が解消に向かった。トランプ発言の認識不足、勉強不足を日本の公式見解をもって、なぜ咄嗟に指摘し、認識不足を正さないのか。

国際情勢は変化している。特にアメリカは変質した。

トランプ大統領が変質させたのではなく、オバマ大統領が「世界の警察官」を辞めると宣言したのだ。

ドイツもエネルギー供給国として正面対立を避けていたロシアへの認識を変え、とうとう防衛強化にを大きく舵を切った。

我が国としては、ドイツをマネしろとは言わないが、中国の軍事攻勢、ロシア・北朝鮮の動き、こうした中での米軍による防衛プレゼンス後退という状況を踏まえ、、自分のアタマで熟考する時が来たのではないか。

米国への過度な依存からの脱却について模索する話だ。

米の問題・・・米国から買う「米穀」問題も、数十年来、何度も米国から申し入れされていたイシューだ。

◆正攻法による正面突破の姿勢で

今後の対米交渉では、正面から自由貿易正の正論を主張し、トランプ政策の非を正すのはどうだ。

米国を除くG7もEUも、そしてアセアンも韓国も賛成するぞ。

中国だって賛成だ。むしろ中国はこのところ欧州と融和的になっているではないか。

もちろん自由貿易を標榜する国際機関・WTO(世界貿易機関)も諸手を挙げて賛成してくれる。

米国が頑なに自由貿易を捨て、安易で無謀な高率関税を振り回すなら、変質した米国を外して自由貿易陣営を組み立て直すというのも有力な選択肢のひとつになると思う。

こういう状態になれば、米国も関税の防御壁で身を固めることは止め、こちら側になびいてくるはずだ。

米国も単独で生きて行けないのだから。

(学23期kz)

随筆 横目で眺めた経済学 ⑩不況への対策

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2025年7月 トピックス】

◆社会人になって「経済」に関わるようになった。

私が関わったのは経済学のジャンルでいえば、マクロ経済、財政、税制、統計学、雇用、国際経済。このほか経済史や各国の地域経済にもかかわった。

もちろん経済・財政と切っても切れない関係にある金融の世界も勉強した。

◆景気対策の現場

経済には浮き沈みがあり、不況の到来は避けがたい。

かつて世界経済は大変な時があった。1920年代末から10年ほど続いた大恐慌で、「4人に一人が失業」と言われた時期だ。

日本経済も大きな荒波をかぶった時期がある。

2度のオイルショックにより物価上昇率が加速、消費は落ち込み、企業の業績も悪化し、高度成長を続けていた日本経済が戦後初めてマイナス成長となったのが1974年、昭和49年だった。

こうした事態になると、景気対策を求める声が上がる。

失業者や、業況が悪い企業から、景気を何とかしてくれとの要望が押し寄せる。

また、政治の世界もこうした事態を強く憂慮する。次の選挙が戦えないからだ。

◆政府投資

景気が悪いまま市場に任せておいても、ただちに事態は変わらない。

この時には政府の出番だ。

景気対策を打つに当たっては、各種ツールがある。

規制緩和、金融緩和などもあるが、これらが景気に与える影響は間接的であり、このため時間がかかる。

景気対策のうちで最もインパクトがあるのが財政出動、いわゆるケインズ政策であり、減税よりも公共投資の方が、インパクトが大きい。

通常は市場に任せ、不況になると財政出動で需要喚起を行う。

「市場任せ」と「政府の出番」とのハイブリッド、いわゆるサムエルソンに代表される新古典派総合の世界だ。

昭和の時代は社会資本が不足しているということも背景にあったため「ケインズ主義による公共投資」が多用された時代でもあった。

◆セイの法則を超えた失業

ケインズ理論が脚光を浴びたのは大恐慌からの脱却策が契機だろう。

需要も供給も地域的に限られ、プレーヤーが少数であるような牧歌的な時代は価格・賃金・利子率の伸縮によって経済の均衡がもたらされ、供給が自ら需要を作り出すといったセイの法則が妥当したかもしれないが、経済が急速に発展し、また機械化に伴い供給力の水準も恐ろしく高まった状況では、モノがあふれ、市場で捌けない事態が生じる。

こうした状況では、市場に任せておけば、いつまでたっても景気は戻らず、失業者は職に復帰できない。

こうした牧歌的な時代から急速に経済が発展すれば各所で目詰まりが起きる。こうした時代が20世紀に到来したともいえる。

失業というのは深刻で辛い。家族にも深刻な影響を及ぼす。

こうした長期不況、それに伴う失業は見えざる手が支配する古典的な世界からすると「不都合な真実」にあたる。

こうした事態が生じた場合は政府の出番となる。

財政出動によって景気を取り戻すことが政策的に重要になった。

日本の当局においても、経済を運営するにあたり、景気対策を講じる事態が生じた場合、経済対策の根拠、正当性を主張するために、経済・財政理論を固めておく必要があった。

つづく

(学23期kz)

令和の米騒動

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2025年7月 トピックス】

岡山支部 岡山Bさんの投稿

令和の米騒動、備蓄米の放出等で話題に事欠かない毎日ではある。

一連の米作りの作業に携わったことのない政治家が、官僚の事務方の資料に、またある筋のコンサルの提案に軽率に左右されたりすると怪しくなる。

(現場を深く知る、現場の声に耳を傾ける。セレモニーとしてでなく)

もとより、このコメ不足の時に「家には売るほどお米がある」と口にしてしまう、農水族には信頼が厚い政治家でもどうかとなる。

米作りには様々な工程がある。ある時、農機具メーカーの営業マンが言つた。

「農業はある意味”百”の才能(百人の知恵)を持ち合わせていないと上手くいかない、百姓(百人の知恵)の生業である」と。

そう言われれば、種から苗、苗から稲、機械について、天候について、肥料について、農薬について、害虫、稲の病気について、土壌、土質について、農業土木、農業会計について等々、主だったものをあげただけでも、それを個々に極めようとするとあたかも総合大学の感がある。

「壁がある!だから、いく!」の宣伝で、2018年日経広告賞も受賞した企業のホームページには、その昔の米作りの過程を上手く纏めてあったので、長くなるが後掲してみよう。

種籾の選別から始まり、お米を収穫した後の藁細工のことまで記載されており、一連の流れが俯瞰できる。

通常稲の生育は、水稲(すいとう)と言う形をとることが多い。つまり、稲は水田に田植えをし、途中の工程では、水の管理をしながら、根(株)を太らせ、稲の背丈を伸ばし、稲の穂が出て、花が咲き、成熟期、黄熟期を経て、実りの秋を迎える。

その過程で最も大切なのが水の管理であると言われている。将に水稲なのだ。

田圃一杯に水を張り、溜め、ある時期は途中で水を落としたりする。また稲の成長途中に田圃の中に立ち入り、溝切作業と言ったひと手間ひと手間を加える。

それは除草と土用干しを兼ね、またその後再び水溜をしたとき、その溝によって、水が全体の面によくいきわたるようになる。その手間は何もしない水田に比べ、何倍にも豊かな水田を保つこととなる。

(特に今年のような高温、そして水不足も懸念されるときは)

一方、籾米をいきなり水田に直播し、後の水管理もせず、籾本来の生命力に任せる栽培方法もある。育苗、田植えの省略により稲作の大規模化・低コスト化・省力化のためのキーテクノロジーとして、有望視されている技術とも言われている。しかし、昔ながらの米作りの視点からするとあまりに田圃に、稲に負荷をかけすぎているのではないか…

昭和の終わり時期に地元にいた米作りがうまいと言われていた年配の伯父さんは朝夕自転車で田圃を見回るのを日常としていた。そして、気になる所では自転車を止め、田圃の水面に手を差し出して、水の量、その温度を確かめていた。きっと、その裏には前述の百姓としての知恵で、今後の天候、雨量の予測をもして、調整していたものと思われる。手を差し出すことにより、水の量、また温度から”田圃の声”を聞いていたのかもしれない。

ここまでくると何処か人材育成にも繋がる様にも思える。

蛇足

温室育ち、また稲にとって過剰に環境を整えることが、丈夫で実りある稲の成長につながるとは言い難い。むしろ、敢えて「獅子は我が子を千尋の谷に突き落とす」

今の時代だと少し上席にある人が後進の指導に強く出ると「パワハラ!」「パワハラ!」と言われかねない時代でもあろう。しかし、後の時代での成長に必要な事項は、適宜、時には辛い判断をしながら”千尋の谷”も避けない時もありそうだ。

昔百貨店で”魚沼産のコシヒカリ”が何種類か販売されていた。同じ”魚沼産のコシヒカリ”なのに表示されていた価格には倍半くらいの価格差があった。

何故ですか?と売り場の店員さんに問い合わせると、同じ魚沼産と言っても水系(水質)によって、最上級のブランドでも米の味に差が出てくるんですとの答えだった。

農家の人がすべてそうだとは言えないが、お米作りについて、ある話を聞いた。

自宅で消費するお米は、水系は源流に近いところのもので、そして手間だけど出来れば天日干しの稲架(はぜ、また、はさ)掛けのお米を自家消費していると。

種籾(たねもみ)の選別と種まき→鍬(くわ)や鋤(すき)を使った「田起こし」→さまざまな鍬(くわ)を使った畦(あぜ)塗り→馬鍬(まんが)が活躍した「代掻き(しろかき)」→正条植えによって変化した「田植え」→桶や水車を使って行った「水の管理」→「草刈り」のために開発されたさまざまな農具→自家で作られていた施肥(せひ)→毎年、夏に行われた「虫追い」→中干し(土用干し)と稲の開花→鎌を使った手作業の「稲刈り」→天日での乾燥と稲の運搬→時代とともに変化した「脱穀」するための道具→さまざまな道具を駆使した「籾の選別」→臼を使った「籾摺り(もみすり)」→玄米をついて糠(ぬか)を取り除く「精米」→農家の生活用品になった「藁細工」→餅を供えて収穫への感謝

(筆者は、小学校時代に上記内容の「精米」の項以外は大人の真似事であったかもしれないが体験したことがある。今は田植え機による田植えは苗の田植え作業にとどまらず、一工程の中に追肥、除草材の粒剤散布により同時にこなしている)

写真解説

①溝切作業まで実施した水田 灌水をしないと水が維持できない条件の厳しい田圃
②溝切作業未実施水田 水利がすぐそばにある
③水管理が十分でない水田
 同じく水利はすぐそばにあるが水管理が足らない 

お知らせ 山口市の名産品フェア(7/18~19)

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2025年7月 トピックス】

山口県東京事務所から下記の通り、山口市の名産品フェアの開催案内が届きましたのでご紹介します。

(鳳陽会東京支部事務局)

  記

山口県アンテナショップ「おいでませ山口館」において、期間限定で普段販売されていない山口市の名産品を展示販売する「山口市の選りすぐり!名産品フェア」を開催します。
なお、期間中は、毎日先着100名様に山口ごま本舗の「有平糖」をプレゼントします。

                  
1 日時 令和7年7月18日(金)〜7月19日(土)
     午前10時30分〜午後7時まで 店頭にて販売促進活動を実施します。
     ※山口市の名産品は7月31日(木)まで、館内中央催事場にて販売します。

2 場所 おいでませ山口館(中央区日本橋2-3-4 日本橋プラザビル1階)
     TEL 03-3231-1863

3 内容 ① 山口市の名産品を販売(下記チラシ参照)
     ② 期間中、毎日先着100名様に山口ごま本舗の「有平糖」をプレゼント。