「危険な暑さ」続く

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2025年7月 トピックス】

岡山支部 岡山Bさんからの投稿

◆7月29日、当地岡山でも、最高気温が39度!所謂、“危険な暑さ“と言う領域だ。

今年になって、何度も36度位の気温では何の体調の変化もなく、低山山登りを楽しんできた。

(山岳医療の世界では、月に2000m位の高さの山登りをすることが山登りを続けるには意味があると言われている。そして、それは200m×10回と言う分割手法もありと言う。低山山登りが、何やら”登山健康積立預金”のような話だ)

◆”危険な暑さ”という枕詞の今日は登り始めから少し様子が違っていた。

湿度はそんなに高くないのに、汗が額を流れる…

3時間半程歩き、ゴールまであと200M、最後の尾根つたいに登る時、突然異変が起きた。

吹き出す汗、そして20M毎に休憩をとらないと息が大きく乱れる。最後、20M位になると5M毎に休息…(立ち木に寄りかかりながら休息をとる)

やっと気付いた!

もしかして、世間で言われている『熱中症』?

(後になって反省すると少し“水分補給のタイミング“が遅れてしまった…)

自ら運転してきた車の冷房を入れ、着替えを済ませ、体力の回復を確認して、麓の食事処へ寄った。

あるメニューを頼み、割り箸を使って食事をする。不調が治まり、体調の回復を確認してきているはずなのに、箸を使う腕の前腕に”痙攣”が発生するではないか!  それも左右…

食事後、再び少し長めの休憩をとったら、ほぼ全快した。

軽い初期症状の判断からは、かなりかけ離れた、実はそれなりのダメージを受けていた自分を実感! 

侮るなかれ!“危険な暑さ“…

身体を持って体験した実録記だ。

◆同窓の皆様方へ 

教訓があるとすると、

・35度を超えてのほぼ数度の温度差は、”たかが”でなく、”されど!”である

・喉が渇く前の「補水」習慣の励行

・小さな予兆を見逃さない体感!の大切さ

(岡山B)

第99回鳳陽ゴルフ会のご案内 9/28(日)渡良瀬CC

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2025年7月 トピックス】

河川敷のフラットなコースで、カートでのコース乗り入れが可能。

初心者からシニアの方までのご参加をお待ちしています。

幹事37期 上野

開催要領は以下のとおり

●日時 9/28 日曜日 09:30から  (0915スタートホール前集合)
●会場  渡良瀬カントリークラブ

渡良瀬カントリークラブ (栃木市) 東武グループのゴルフ場

●プレーフィ ¥15,000 (昼食込み・セルフ乗用カート)

 ※ 65歳以上の方は上記から利用税300円引 70歳以上の方は600円引

●パーティ会費 ¥ 3,000 (パーティ. 賞品) アクセス)

●アクセス

車の方;東北道舘林IC(浦和から41KM)から10KM (15分)

電車の方;東武日光線 藤岡駅 0826のクラブバスで5分(予約制)にご乗車ください (東武線)北千住 0707 → 東武動物公園0743 ⇒南栗橋0757 ⇒藤岡0823 (JR)東京0651 ⇒栗橋0755 / 0801 (東武日光線)=>藤岡0823

●参加連絡は鳳陽会事務局まで

houyoukai-tokyo@bc.wakwak.com

●7/29現在の参加予定者(敬称略、カッコ内は卒業期)

平田(19)、鹿児島(23)、葛見(23)、七村(27)、浅川(30)、鎧坂(30)

板井川(32)、上野(37)、内田(37)、大加瀬女史(49)、篠田女史(58)

40年前の三経の交流

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2025年7月 トピックス】

岡山支部 岡山Bさんの投稿

◆三経戦!現役の時は勿論、卒業してからもその交流が盛んである話はよく聞く。

同窓会同士の交流も最近盛んである。

OB会での対戦、またゴルフの対抗戦、交流を図りながらの講演会等々。

1905年建学の長崎と山口は、第三高商はどちらかと言うような論争が一部にはあるにせよ、これらはその交流においては枝葉末節の事のようにも感じられる。

また、大分は1921年官立旧高商8番校として建学され、100年の風雪を超え、四極会は今年、その同窓会創立から100周年としている。

2025年は三経にとってはいずれも慶事の年である。

{長崎(瓊林会:けいりんかい)、大分(四極会:しはすかい)、山口(鳳陽会)それぞれの名には謂れがある。}

私自身の社会人時代のある先輩との交流を紹介しよう。

◆博多在勤時代、大分大学経済学部出身の先輩がいらっしゃった。職場の組合で、書記長をされていて、組合活動(春闘に関する説明会)として、二人で大分に出掛けた。

日常の職場では特に特別な繋がりを感じることはなかったように記憶している。しかし、二人の同じような系譜の出身のものには、何処か底流では繋がっていたのかもしれない。

職場の先輩が学生時代通っていた秘湯があるとおっしゃって、湯布院まで足を延ばした。

そして、ある露天風呂を紹介してくれた。茅葺風の建物の中にある秘湯。

その湯に入浴し、遠景に悠々とたっている由布岳を眺めながら、熱めの湯でしっかり汗を流してから夕方職場にオルグ入りをした。

組合のオルグが終わって、その職場の皆さんと一杯、一杯やって、宿泊地の別府のビジネスホテルに戻った。部屋に戻り部屋風呂に給湯すると「黒い黒い液体」・・・・・ 

これは、フロントに書いていた「ビジネスホテルで温泉が楽しめる」というお触書の事だろう。

温泉の源泉から引いている、蛇口から出る黒い湯の温泉である。

同窓会も温泉の源流と同じく、その源流から脈々を沸き続ける湯、つながり。交流するのには何ら”壁”がない。

ただ自分自身の限られた職場経験では、長崎大学経済学部の先輩、後輩とはたまたま席を同じくすることがなかった。惜しむらくは、その交流がなかったことだ。

(岡山B)

随筆 横目で眺めた経済学 ⑫ケインズ政策の泣き所

 山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2025年7月 トピックス】

前稿で触れたケインズ主義による財政出動。

しかし、この策にはデメリットがあることにも注意が必要だ。

◆第1の問題が財政赤字だ。

特例国債(赤字国債)を発行、すなわち借金をして公共事業などの財政出動を行う。

しかし、減税や、公共投資の中身を決めるには国会を通さなければならず、議決までに半年から要する。

すなわち、金融緩和と異なりタイムラグがあり、これが悩ましい。

このラグを細かく見ると、まず景気は下降しているのかという「認識」のラグ、「手続きのラグ」、「効果発現までのラグ」がある。

効果発現時に、景気が上昇局面に差し掛かった場合は、インフレを加速させかねない。

すなわち、誤った財政発動になりかねないからだ。

(なお、財政赤字の問題については別稿で取り上げる)

◆第2に、この借金を返済することはできるのか。

景気が戻り、経済成長すれば自然増収で何とでもなる、ということはない。

税の経済成長に対する弾性値が一定としても、日本経済の潜在成長率が1%前後の世界では税の自然増に期待できない。

好景気による自然増収だけでは足りず、増税しなければならないが、国民は納得しない。反対する。

そうした場合、財政派赤字は不可逆的に悪化の一途をたどることになる。

◆第3に、物価に与える影響もある。

不況時には物価が下がって消費者の購買力が増え、景気が反転する契機が生まれるが、不景気の時に財政出動をすれば下がるべき物価が下がらなくなる。

インフレ、あるいは物価が落ちないという問題はケインズ政策の

泣き所でもある。

◆人物紹介

貝塚啓明先生。

貝塚先生は財政、税制、社会保障の分野のほか、金融論にも通じておられ、日銀参与にもなっておられた。

時のホットなマターに関する研究会を何本か立上げ運営したが、貝塚先生に座長になって頂くことになり、ご指導いただいた。

貝塚先生は「(福祉重視に傾きがちな)連立政権の下では財政赤字の是正は難しい」と、よくつぶやいておられた。

歴史学者・貝塚茂樹氏の長男で、湯川秀樹氏の甥に当たる。

京都のご出身。2016年に他界された。

(学23期kz)

貝塚啓明先生

サラリーマンとネクタイ(ピン)・・・

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2025年7月 トピックス】

岡山支部 岡山Bさんからの投稿

“『いちご白書』をもう一度”の歌詞の中に…いつか君と行った映画がまた来る…それに続く歌詞…

男子学生において、学生時代に別れを告げる儀式として、”無精髭と長い髪”とのサヨナラが、嘗てはあった。
一方、その昔、社会人として組織に属すると言う事は、その組織に対して、ある意味”忠誠”を誓う儀式が伴なっていたであろう。

“白いカッターとネクタイ”もその一つになるかも知れない。
ネクタイには、柄、幅、ノッチ(結び目)に流行り廃りがあり、流行もある。
これらの中でも、そのネクタイの”幅の太さ”に組織への忠誠度が表れるとも言われた時代もあった。(時代によっては、もう少し広げると幼児の涎掛け?(笑)のような幅広が流行った事もある)

背広の内のネクタイをどう扱うかも、各自それぞれの流儀がある。
一昔前であれば、ネクタイピンはネクタイには”must”だったかも知れない。
人の動きに伴ってネクタイの端が暴れる、乱れるのはどうか?と言う考えだ。 要は行儀よくか…。
反対に今、ネクタイピンをしている人がどれだけいるだろうか?。

寧ろ、人の動きに伴ってネクタイの端は動く方が自然だ。
両者のハーフと言えるのが、ネクタイの端をカッターシャツ前面のボタン間に挟み込むと言うやつかも知れない。
自分の中で白カッターシャツは色カッター(柄物もあり)に、ネクタイのタイピンはタイピン無しに、時を置かず変わった。

一方、工場勤務勤めになると勤務先では、ナッパ服になるから、出張や会議以外はそれらは不要だ。
時代は流れる。

蛇足)自分の中のネクタイピンの履歴書を写真で掲載しよう。

就活が始まる頃、ゼミの仲間からネクタイの結び方、タイピンの使用方法を学んだ。
写真は就職活動で使用していたものから博多在勤時代のもの、シルバー×2そして、真ん中に旧松本高校寮歌入り(旧制学校記念館にて販売)
それぞれのネクタイピンに、組織人としての歴史がある。

岡山B

毛利家の先祖と末裔 ③

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2025年7月 トピックス】

◆元徳公の末裔(その3)

さらに下ると・・・

最後の藩主となった毛内元徳公の長男・元昭氏(第69代、1865~1938年)は貴族院議員となった。

その元昭氏の長男、すなわち元徳公の孫・元道氏(第70代、1903~1976年)は陸軍士官学校を経て、やはり貴族院議員になっている。

時代はさらに下り・・・

元道氏の長男・元敬(もとあき)氏(1930年生まれ、元徳公の曾孫)は「サラリーマン第一号」と呼ばれ、長期信用銀行に入行し、経済企画庁にも勤務している。

元敬氏の長男・元栄(もとひで)氏(1967年生まれ)は日立金属に入っている。おもしろいことに、元道氏の4男元敦氏も日立金属に入った。

日立といえば鳳陽会の幹部を出している名門どころだ。

◆二人の大立て者

日立グループには鳳陽会が大変お世話になっている。

辿っていけば・・・「鉱山王」と呼ばれ、日立の社祖となった久原房之助氏、久原氏の義理の兄で、久原氏から事業を継承した「重工業王」とも呼ばれ、昭和の前期に「日産コンツェルン」の総帥、日産自動車を創業した鮎川義介氏、このご両人に行き当たる。

ともに山口の人物だ。

(学23期kz)

健康診断における大人の段階

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2025年7月 トピックス】

岡山支部 岡山Bさんからの投稿

学生時代は保険健康センターだったと思うが、毎年健康診断を受けていた記憶がある。

また、学生健康保険のようなものがあってか、歯医者で治療しても、後から治療費の還付等があった。

卒業前には”全くの健康体!”で湯田温泉の駅から東京へ出発していったように記憶している。(就職にあたっての健康診断は済生会山口総合病院で受けた)

社会人になると職場に検診車が来る。35歳を境に人間ドックと言った検診を健診機関で受けるようになった。

◆健康診断における大人の階段 4つ

①先ず人間ドックで大人の階段を一段上ったなと感じたのは、胃のレントゲン撮影。

あの白い重い液体”バリューム”!口から流し込み、映像を鮮明に映す為、発泡剤

も併せ飲む。ゲップに堪え、レントゲン技師の指示による検診台の上で、自らの動き、結果としては、まるで回転ベッドにいるように動くことだ。

先ず三回転、一方向に回ることぐらいは出来る。その内、右だ左だ、仰向けだうつ伏せだ…段々頭の中は混乱して、右はどっち?左はどっち?仰向けって?うつ伏せって?となる。その頃になると押し殺していたゲップは意識しなくとも小さなものが発生、又、漏れたりする。そうすると、レントゲン技師の「追いバリューム」の指示が来る。口の周りは、既に初回のバリュームで白くなり、若干固まり始めていたりする。そこにさらに「追いバリューム」だ。やはり大人の階段は、たかが一杯、されど重く、甘美な甘さがある。(30年の年月の中で、今は大層飲みやすい液体になっている)

結論!このレントゲン技師の指示に対応しながら、胃のレントゲン撮影が出来る限り、ある意味”健康体ですよ!”と自ら宣言したくなるくらいハードなものだ。

②そんな経験を重ねていくと、「慢性胃炎ですね、また少し胃に影がある」、病院での精密検査を進められる「要検査」の指摘が来る。

当時は子供も小さかったし、まだまだ間違っても健康を害してはいけないと用心の方が先立ち、素直に胃カメラ検診を受診する運びとなる。

胃カメラが上手との誉れ高い病院に行くと、先生は胃カメラの心得を先ず説いてくれる。

そのこころは「これからも何度も胃カメラを受ける機会はあるでしょう。そうした時、最初の胃カメラでひどく違和感を持ってしまうと次の胃カメラが飲めなくなります。

出来れば、注射による全身麻酔で楽に胃カメラを受けられませんか?」もう、俎板の鯉、極端な話、先生が南極に行けと言われれば、南極へ、北極に行けと言われれば、北極にの状態((笑))「お任せします」 

しかし、今の医療では、インフォームドコンセントで同意書に署名を求められる。ここでサインにすることに躊躇はない。

麻酔が効き始めながら、胃カメラの細い管の異物が少し口のなかを入っていく、

そしてその映像を確認しながら、食道の入口に到着する前から、きっと虫の息でなく、深い眠りに誘われ、落ち込んでしまい、記憶は飛んでいく。

『光る壁』など小説で読んでいた技術的なことより、現実の自分のことになると、その眠りの深さの方が驚きだ。

胃カメラの撮影がすべて終わって、看護師さんから声をかけてもらっても、何かうわの空・・・眠りから覚めていない。「もう少し、休んでいったらいいですよ」の先生の声すら眠り唄になる状態。それから小一時間は熟睡。

きっと病院側からすると、睡眠ベッド、延長料金戴きます!の状態であったのだろう。

③従来成人病と言っていたのを”生活習慣病”と名付けた聖路加病院の日野原先生は偉い。

つまり、ある不健康な生活を継続していると、習慣となり不健康な状態が累積されていく。そして、その末路は”生活習慣病”に繋がる。

CTへの検査へとなるのもそんなに時間を要さない。つまり、影にもなお怪しいものが写ってしまうことがある。そうなると人間の体の映像を輪切りにして、その映像を立体的に再生して、その映像から病状を細かく見ることになる。

この辺までくると”立派な大人の健康診断”だ。肺にも影・・・闇は深まっていく。

三人に一人が癌と言っていたのが、二人に一人が癌の時代。影があると言われると自覚症状が全くなくとも医者の進言は金言になる。

姿勢としては「先生、お願いします」に変わっている。

④頭部の検診

①~③がある意味強制された健康診断だとすると④の段階のMRIによる頭部の検診(脳ドック)は自ら希望して検査をするようになる。

2022年の推計で65歳以上の認知症の発症率は12%、軽度の認知症障害は16%と言い、認知症にかかわる症状が、両者併せて、大きく丸めるとまた三人に一人となる。

加齢に伴う物忘れなのか?認知症による物忘れなのか?この二つの区分の厄介なのは、物忘れの自覚があることと物忘れの自覚があること自体忘れているかによる区分だという。ちょっとした禅問答になっていないか?

何れにせよ、心配なら自ら検診を受けなさいと督促されているようにすら感じられる。

加齢自身は決して憂うべきことでない。”一つ年が大きくなったら、一つだけ賢く成ればいい”と昔勤務していた工場長の名言、ある意味これを支えに加齢受け入れてきたと言ってもいいくらいの応援の言葉であった。

しかし、加齢は自分に否応なしに”物忘れ”を連れてくる。

レ・ミゼラブル!(あゝ無情!)

先日MRIで撮影された映像に基づく医師の判断は「年齢の割には脳の萎縮はありませんね。また、脳の血管の方も今のところ問題はありません」一安心、一安心。

さらに先生はリップサービスも含めてか、「僕の脳の映像なんかより、まだ状態はいいですよ」とも・・・(笑)

願わくば、先生の映像も是非比較し、味わいながら、検証したい!(笑)

「年齢相応…、何でも長年使っていたら、少しは調子が悪くなるところはあるでしょう。だからしんぱいごむよう(「心配ご無用」)」とくる。先生、本当に大丈夫ですか?と詰問すらしたくなるくらいだ。

①~③までの階段はまだまだ明るく筆が進む。しかし、④の階段になるとその筆の運びは少し重くなる。

これまで偶々ではあるが、検査以外では診療台に登ったことがない。

これは先ずは健康で丈夫な体に生んでくれた両親に感謝、そして、人生の2/3を共に生活し、日々の食を通して健康管理をしてくれているカミさんには感謝しかない。

若い頃の暴飲、暴食も影響し、職場で健康診断を始めて頃に比べ、体重は20㎏あまり増量した。されど、大きな病気はしていない。

勿論、自分自身は病気の兆候を怖がらない。大人の階段を上る中で、もし病気になりかけていても、未病の状態でも積極的に検査を受ける。それぞれに必要な処置をすると好転することを知っている自分がいる。

(岡山B)

随筆 横目で眺めた経済学 ⑪ケインズ理論

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2025年7月 トピックス】

◆ケインズ理論の紹介

日本で初めてケインズの一般理論を全訳し、紹介したのは誰なのか。

著名な大御所の経済学者ではない。

大蔵省内の部局、理財局の旧調査課だった。

ケインズの一般理論は1932年刊行されたが、昭和17(1942年)に理財局調査部が一般理論の全訳を本邦初で行っている。

深刻な不況が生じた場合、経済を活性化させて失業者をなくすには、政府主導で財政出動することが必要であるとの理論付けを行ったのだ。

これはアダムスミスの予定調和・・・「神の見えざる手で市場がうまく解決する」という世界観を乗り越えたことを意味する。

施策を講じる当事者が、己のやっていることが間違ってはおらず、正しいと主張したいし、そう信じたい。そのための根拠を経済理論に求めたのだろう。

◆ハーヴェイロードの原則

恐慌や失業が生じた時の財政出動、すなわち「需要を起こせ」というケインズ理論を実践するには「ハーヴェイロードの前提」が重要だとされる。

ハーヴェイロードとは何ぞや。

それはケインズの生まれた町の名で、この意味するところはケインズ政策を実行するにあたり政府部門は賢者によって政策運営がされなければならないとされる。

具体的には不況時に政府が歳出増や減税で有効需要を創り出し、景気を戻すとしよう。

逆に、景気が回復したら自然増収でも足りない場合は歳出削減や増税で財政を均衡させるべしということを意味する。

なるほど、理屈だ。

理想でもある。

しかし、それはなかなか厳しい。それが現実だ。

◆そうは問屋が・・・

ここで問題なのは政府部門が一枚岩ではない、というのも問題だ。

政府部門とは公務員のことだが、公務員には省庁の事務官、いわゆる「役人」もいれば、政治家もいる。

政治家も公務員。「特別公務員」という公務員であり、中央官庁の中の役回りでは、大臣、副大臣、政務官として、事務官の上に立つ役職で、一般職員である事務官の「上司」にあたる。

また政治家と行政官(役人)、三権の中にあって、この両者は行動原理が異なる。

選挙で選ばれた特別公務員たる政治家は官庁で、大臣という名の最高権力者となる。

立法と行政。

三権分立の二つの柱。

体よく言えば「チェック&バランス」が望ましいが、官庁の役人にとって大臣とは、見上げるべき存在で、既述した通り、役人の上司に当たる。

官庁の中では最終的に権限持つのは大臣で、役人はその指示に従って、専門知識を駆使して黒子となって動くことになる。

◆人物紹介

ハーヴェイロードの原則をよく口にされていたのが長富祐一郎氏(1934年~2013年)。

財政経済研究機関Zの事実上の創設者だ。

(交通事故による結構きついハスキーボイスで、難聴気味の私はご発言内容を聞き取るのに相当苦労した)

人脈が豊富で、若手有望株の研究者の発掘にかけては大変眼が利いた方だ。

有望な若手の経済・財政金融学者を集めたシンクタンクZを創設し、経済・財政に関する精力的な調査研究を行った。

外国の研究者とも交流を深め、ここには若いころローレンス・サマーズ元ハーバード大学長(28歳でハーバード大教授に就任)も在籍した。

(学23期kz)

ローレンス・サマーズ 元ハーバード大学長

ゴルフ 何でそうなるの! ⑬歴代米大統領

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2025年7月 トピックス】

◆米国歴代大統領のゴルフ

トランプ大統領はゴルフが大好き。USGAのハンディは2前後のようだ。世界中にトランプの名を冠したゴルフコースを持っている。もちろん地元フロリダにも。

彼のベストスコアは64だという。

歴代大統領の中で最もうまいと評判だ。

64というのはすごい。トッププロ並みじゃないか。

◆しかし、64というのは「自主申告」でのスコアかもしれない。

キャディーさんからは「ペレ」と呼ばれているそうだ。

トランプ氏自身のコースでの話だが、フェアウェイを外した時はボールを蹴ってフェアウェイに戻すからだ。

◆またオバマ元大統領もゴルフ好きだ。来日した折も当時の安倍首相とラウンドした。

ハンディは20を切る程度で安倍首相もハンディは20手前。いい勝負だったのだろう。

体育会系ではなく文科系かと思いきや、7年で250ラウンド、あるいは8年で333ラウンドをこなしたという話で、レフティーのゴルファーだ。

また、バイデン前大統領も何とハンディは10程度だという。「特にアイアンが上手く、大きく外さない。トラブルが少ないゴルフ」とされる。

◆かつてウッドロー・ウィルソンは8年間で1200ラウンド回った。すなわち週に3度ラウンドした計算になる。

スポーツマンマンでヨットが好きだったJ・Fケネディーもゴルフが好きだったようだ。

選挙でのライバル・ニクソンを「ゴルフばかりして・・・」とクレームを付けたはよいが、本人もそのすぐ後にお忍びでラウンドしに出掛けたという話もある。

2009年版のゴルフダイジェスト誌はゴルフ好きの歴代米大統領ランキングをつけているが、1位はアイゼンハワーを抑えて、ケネディーが1位に輝いている。

この時3位はG・Rフォード、4位がウィルソンという順番になっている。

(学23期kz)

オバマ元大統領のアプローチショット

取り残される日本

山口大学経済学部同窓会

鳳陽会東京支部

【2025年7月 トピックス】

◆6月とは思えない猛暑の中、久しぶりのシンガポール出張である。

前回は2018年、当時勤めていた会社がF1のスポンサーをやっていたので、シンガポールGPにお客様を招待、そのアテンドであったと記憶している。

この間コロナがあり、ウクライナ紛争やトランブ2期目がスタートするなど、世の中は大きく変わってしまった。今回の出張はその変化を感じる出来事が多かった。

◆最近海外に行く時はアプリ決済の進歩でキャッシュレスでの支払いが可能なため、現地通貨の両替は最小限で事が足りる(便利な世の中になった)。

今回は2泊3日の弾丸出張なので、現地通貨の両替は50シンガポールドルで十分だなと思って成田空港の両替所へ立ち寄った。

かれこれ30回くらいはシンガポールに出張しているので、1シンガポールドル=¥80くらいだろうという思い込みもあり、日本円で5000円出せば、お釣りが来ると勝手に想像していた。

「お待たせしました。50シンガポールドル、日本円で6,000円です」 

えー!

1シンガポールドル=120円?

嘘でしょうと思って為替のボードを見ると、確かに120円になっていた。

◆深夜に到着すると、相変わらず赤道直下特有の蒸し暑さはあるが、日本の方が不快指数は高いなあと思いながらホテルへ。移動手段はGrab(Uberのアジア版)である。日本では既存のタクシー事業者を守るため、いまだに私用車を利用した配車アプリは認められていないが、シンガポールでは移動手段に既存のタクシー会社と私用車使用のGrabが両方機能している。

ホテルにチェックインする頃には喉がカラカラ。

部屋に入ってみると、ミネラルウォーターが置かれていない。フロントにクレームすると

「ベットボトルのミネラルウォターを廃止して、洗面所の水を飲料として利用できように改善した」との返事。

コンビニに行っても、ベットボトルに入った水はほんの少量売られてはいたが、その代わり水筒を買って再利用(リフィル)しましょうと勧められた。

オフィスや空港、街の中にもたくさんの給水所があり、サスティナブルの徹底を感じた。

◆会食の席で、フランス人やシンガポール人の同僚に「日本の米騒動を知ってるか?」と聞いてみても、誰も知らず、経緯や価格の推移を説明すると「値上がり前の¥500/KGでも高すぎるよ。ましてそれが、1年で倍? 欧州でもアジアでも主食が高騰したら暴動が起きるよ」

とのコメントであった。

◆わずか48時間の滞在ではあったが、今回ほど日本社会がグローバルの動きから、いろんな面で取り残され、国力が落ちている事を痛感した。現地のカフェの店員の時給は2500円、この円安が続けば、少子化で減り続ける労働人口の切り札として期待される外国人労働者も日本で働く事を選ばなくなるであろう。

帰国してみると日本のトップニュースは、NHKも含めて、どこぞの市長の学歴詐称。

まあこれが日本の良い(呑気な)ところなのかも知れない。

大学37期 上野啓