ノーベル経済学賞 その1

山口大学経済学部同窓会 鳳陽会東京支部

【9月 トピックス】

今年もノーベル賞の季節がそこまで来ている。

1901年にノーベル財団によって創設されたノーベル賞は①物理学、②化学、③生理学・医学、④文学、⑤平和および経済学となっており、「5分野プラス1分野」で顕著な功績があった者に与えられる。

ノーベル経済学賞はこの「プラス1分野」に当たり、スウェーデン国立銀行が設立300年の祝賀行事としてノーベル財団に働きかけて、1968に創設されており、他のノーベル賞に比べて歴史は浅い。

これまでに日本人が受賞したノーベル賞は平和賞を含む5分野で受賞しているが「+1分野」、すなわち経済学での受賞はない。

受賞した分野をよく眺めると、いわゆる理科系が多い。これは数式や化学式など、いわば“業界言語”が確立されており、和文を英文化する必要がないことも一つ挙げられる。

また、その多くが日本から警告を中心とした海外の大学で研究し、英語で論文を作成し、欧米で活躍した者が多い。

他方文系の受賞者では圧倒的に文学者が多く、日本的な美や精神を説く作風が世界で評価を得ている。

◆経済学の位置づけ

では、経済学はどうか。

自然科学と対象とする物理学、化学、生理学と文化的、情緒的な文学賞や政治的に決まる平和賞の、いわば中間に位置づけられるとする見方もできる。

経済学で解明される現象は、自然科学の場合とは異なる。

すなわち地域的、社会的、年代によっても変わり得るもので、いわば法則の「耐用年数」も長くはない。

これは思想や哲学、あるいは習慣に基づく人間の行動や社会構造と密接にかかわる学問分野だからだ。

独創性

ノーベル賞の受賞には独創性が要るという。日本の近代経済学は欧米の輸入物が多く、独創性に欠けているといわれてきた。

日本人には独創性が欠けているか。

独創性ということでは日本も負けていない。

実は1997年に経済学賞をとった例がある。イグ・ノーベル経済学賞だ。

茶目っ気を競う賞でもあり、「たまごっち」での受賞もあった。

1991年に創設されたイグノーベル賞。

日本のお家芸であり、今年(2022年)も千葉工大の研究チームが受賞し、16年連続での受賞となる。

日本人が独創的な発想と研究業績を残すことができることは、連続受賞で証明されているといっても過言ではない。

しかし、なぜこうした独創性がノーベル経済学の分野で発揮できず、ノーベル経済学賞を受賞できないのだろうか。

次号でその要因を探る。

(学23期kz)

山口大学経済学部同窓会 鳳陽会東京支部

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