忠臣蔵考②山口つながり

山口大学経済学部同窓会 鳳陽会東京支部

【2022年11月トピックス】

◆浅野公の賭け

格下の伊達公の前で、いじめと叱責を受け続ける浅野公。そこで浅野公はこれ以上のいじめや叱責を避け、吉良公に敬意を表し、軋轢を緩和せんがために賭けに出る。

吉良公にある逸品を「進物」として差し出したのだ。

ものは何か。香合(こうごう)だ。

茶道具で香りを収納する蓋つきの容器で、交趾(こうち)とは、ベトナムの意。

内匠頭はこの大亀は曽祖父が二代将軍秀忠の側近として仕えた時、人知れぬ功あって、秀忠公が日ごろ使っていた香合を下賜されたものと説明する。

この大亀は重要文化財に指定されており、安政2年(1855年)刊行された茶道具番付本ではかなりの値打ちものとされている。

吉良公はお茶に通じており、当然喉から手が出るほど欲しい「大亀」。いくら金を積んでも欲しい逸品であった。

しかし、吉良公はこの受取りを拒む。

これを受け取り、態度を軟化させれば、浅野への態度が賄賂欲しさのための単なるいじめとなるからだ。

◆藤田コレクションの主、長州萩の藤田傳三郎

香合大亀は藤田博物館のコレクションとなっている。

その主は藤田傳三郎。

藤田傅三郎・・・山口・萩出身の豪商で、藤田財閥の創始者だ。明治2年に藤田商会を設立し、軍靴で大もうけしたという。今でいう靴の「リーガル」の創始者でもある。

格式高いホテル椿山荘。もとは山縣有朋の屋敷があったところで今は藤田観光が経営している。

藤田傳三郎は事業で成功し美術品の蒐集を始める。美術品が海外に流れるのを押さえようとの意図があったとも言われている。

藤田も茶をやる。藤田の最後の蒐集品となった交趾大亀香合。

2017年東京国立博物館で茶道具の名品を集めた展覧会が開催され、名品そろいの展示品の最後を飾ったのが交趾大亀香合だった。

(学23期kz)

山口大学経済学部同窓会 鳳陽会東京支部

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