山口再訪 出会いし市井の優れ者②

山口大学経済学部同窓会 鳳陽会東京支部

【2022年11月トピックス】

◆大内塗りの達人

京の町を手本に山口のまちづくりをした大内弘世。その弘世と京から招き寄せた姫君をかたどったのが殿と姫、一対の大内人形だ。

大内人形造りの名匠・小笠原貞雄氏を訪ねた。

12月で96歳になる。

もともとは広島県皆実に実家があった。原爆が落ちた際、小笠原さんはたまたま実家にはおらず、幸運にも直接被災はしていない。しかし実家を失ったため、山口にいる親戚の桑原家に移り住んだ。

桑原家では主(あるじ)と娘の喜美子さんが大内人形作りを家業としており、桑原家に引き取られた小笠原さんは喜美子さんに手ほどきを受ける形で大内人形作りを始めたそうだ。大内人形造りの共同作業をしているうちに喜美子さんとの愛が芽生え、結婚と相成った。

小笠原さんの作る大内人形は評判がいいという。

仕上がりの美しさでは群を抜いており、人形の表情が優しいとの評判だ。

大内人形は夫婦円満の守り神。

昭和34年の皇太子殿下のご成婚の際は大内人形を献上したそうだ。

その関係からか、皇族との縁もあるようで、著名な皇族も道場門前裏手の店舗兼工房を訪ねてこられたことがあるようだ。

大内人形は下地塗り‐中塗り‐上塗り‐絵付け、という工程を辿りどんなに小さな人形でも完成までに最低3~4か月はかかるため価格も立派な値段がする。

◆人生の達人

小笠原さんは本業のほか、多方面でご活躍されており、また多彩な趣味をお持ちだ。

被爆地広島について証言されたものがCDの形で残っている。

またかつてはボウリングでプロを任したことがあるという。ハンデを付けての話かと思ったが、そうではない。

勝った時のスコアは269。男子プロボーラーの平均がスコアは220程度とされるため、立派な勝ちっぷりだったのだろう。

毎日の日常生活も95歳にして若々しい。

今でも朝はドロップハンドルの自転車でサイクリングを楽しむという。

身体も健康そのもので、頭脳もクリアー、会話の受け答えも機敏で、足腰は丈夫、目も衰えておらず、耳も「遠くのひそひそ話が聞こえる(本人の言)」ほどで、補聴器要らずだという。

この先もお元気でご活躍されることを祈る。

(学23期kz)

山口大学経済学部同窓会 鳳陽会東京支部

★SNSに登録していただき、フォローをお願い致します。

コメントを残す