クラシックコンサート(続編)

山口大学経済学部同窓会 鳳陽会東京支部

【2023年4月トピックス】

クラシックコンサートを担当していた頃の思い出話です。
嘗て自分が勤務していた会社の人のことを書くのは何となく憚られましたが、もう時効だと思って書くことにします。

招聘した楽団に対して東京では、重要顧客の招待コンサートの初演の後に会社の会長とか社長のトップから、指揮者に対して、労いを兼ねて楽屋を尋ねて歓迎の挨拶をしてもらっていました。
大阪とか名古屋とか地方公演はその地域を束ねる支社長から、同様に指揮者に対して、地域の代表として終演後に楽屋を尋ねての挨拶が恒例となっていました。
終演後にあまり世界的に著名な指揮者を待たせるわけにはいかず、担当者としては苦労するところです。
地方では一般コンサートの中で、重要顧客を招待していました。
と言うことで営業の前線の支社長としては、重要顧客に対して、お見送りするのはいいのですが、ついつい長引きがちです。

あるコンサート会場で支社の支社長に重要顧客に対する挨拶もそこそこに急ぐように促したのですが、「大事なお客様がいるのに君はなんだ!」ということになりました。
営業の前線の支社長の気持ちもわかりますが、開演前にも挨拶しているのですから、割り切りも必要です。
ドレスデン国立歌劇場管弦楽団率いる世界的巨匠のジュゼッペ・シノーポリ氏のところに挨拶に行くのですから、待たせるわけには行きません。
それでなくてもシノーポリ氏は巷では、難しい人と伝わっていました。
経歴も精神医学を学び、考古学にも明るいということで、インテリ指揮者として周りはぴりぴりとしていました。
その役員クラスの支社長は、財界の重鎮といわれた人の御曹司で当時、父上の名前を聞いて知らない人はいないほどでした。
でも、人づてに言動を聞くにつけ、ひょっとして親の七光りで偉くなられたのでは?と私は思っていた程でした。

楽屋に入るなり、その支社長は英語を得意としているのか、英語でしゃべり始めました。シノーポリ氏は英語も喋れるようでした。
通訳もいたので日本語で喋ればいいものを。
演奏は素晴らしかったと労をねぎらったのはいいのですが、いきなりの次の質問に私は凍てつきました。
「あなたの楽団員のひとりが、あなたの指示に従わないようなことが起こったらどうしますか。」との質問でした。
仮定とはいえ、巨匠を前にしてする質問とは考えられません。
私は卒倒しそうになりました。
何度も会って旧知の仲ならまだしも、初対面の巨匠に対してです。
シノーポリ氏は一瞬、驚いた感じでしたが、私も動揺していて何と答えられたのか聴き取れませんでした。

役員なのに傍若無人というか常識を疑います。
結構、下の人は物事が前に進まなくて苦労したとの噂を聞きました。
弁護するなら、ご本人がご自身の管理能力に悩んでおられて、シノーポリ氏に助言を求められたのかも。

コネも人脈もなく何にもなく、実力(?)で入社し、ペーペーだった私の僻みかもしれません。
それに違いありません。
41回続いたその冠コンサートも昨年の開催を最後に41年間の幕を閉じました。

(学22期 Y・Y)
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